暁 〜小説投稿サイト〜
或る皇国将校の回想録
第一部北領戦役
第一話 天狼会戦
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
を下さぬ限り彼らは何もできない。伊藤が御者なら彼らは馬車を引く馬だ。そして彼らはいななきながら配下の兵達を引きずり回すのである。

 軍事組織として創られた組織は長が判断を下せばそれは迅速に実行される。伊藤が手綱を握る馬たちもどうやら駿馬の範疇に入るものであったようだ。
第十一大隊本部は早急に麾下の部隊へ北府への後退を指示し、混乱しきった兵達の津波に巻き込まれず、最大の軍需拠点たる北府まで部隊を掌握しきったまま撤退することに成功した。

 ――だが、彼らの努力が大いに報われる、と云うことはなかった。潰走した〈皇国〉陸軍北領鎮台は態勢を建て直すまでに六日程かかり、北府の陥落を許すことになってしまった。
 この事態を受けて、司令部は北領の防衛は不可能だと判断し、総予備として戦闘に参加せず、被害を受けていない近衛衆兵第五旅団と独立捜索剣虎兵第十一大隊に対して後衛戦闘を命じた。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ