第八話
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第八話 能天気な博士
「はて」
博士は昼食のパエリアを食べている時にふと気付いた。
「あの二匹がおらんの」
「タロとライゾウですか?」
博士と一緒に食事を採っている小田切君がそれに応えた。内心何でこんな博士と昼間から二人で食事なんぞと思っていたりもする。
「そうじゃ。何処へ行ったのじゃ?」
「何でも兄弟に会いに行くそうで」
小田切君はそう答えた。
「兄弟?おったのか」
「そりゃいるでしょう」
小田切君はそう返す。
「だって普通にペットショップで買ったんですから」
「そうじゃったな」
博士は小田切君の言葉に頷く。
「そういえば」
「そうですよ。それでですね」
「うむ」
「夕方までには帰るそうです」
ワインを飲みながら説明する。
「だから安心していいと」
「別に不安なぞしてはおらんが」
博士は平然と言う。
「普通の犬と猫じゃろうが」
「何処がですか」
例によって突込みが入る。
「二本足で歩いて言葉喋るんですよ」
「大したことはない」
博士にとっては、である。この博士の常識はそもそも存在しない。
「何なら地下から怪獣出そうか?」
「大阪城壊すんですか?」
「暇潰しにな」
ここでパエリアの鶏肉を食べる。
「どうじゃ?」
「駄目に決まってるじゃないですか」
「では大阪城の天守閣をロケットに改造してな」
「何処のマフィアですか、それ」
「さてな」
「全く。極○一家じゃあるまいし」
「寂しいのう」
そうは言っても全然嘆いている様子はない。
「全く」
「大体魔女に狙われてるのに」
「ああ、そうじゃったか」
何と忘れていた。
「今思い出したわい」
「そんなんで大丈夫ですか?」
「車椅子があるからな。それにカイザージョーも」
「やれやれ」
博士達は意外と平和であった。だがその平和も博士が動けば終わるのであった。
第八話 完
2007・2・7
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