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髑髏天使
第一話 刻限その十
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やはり無意識のうちに。跳ぶと空中で身体を屈め前方に数回回転しそれから身体を伸ばした。何時の間にかその左手には剣があった。
「これで・・・・・・終わりだ」
 丁度吹き飛ぶ虎人のすぐ上にいた。吹き飛ばされたまま態勢を整えることができないでいる彼を斬ることは容易だった。そして彼はその容易な解決を選んだ。
 剣を大きく右にやりそこから左に大きく一閃させた。それで虎人の腹を両断してから着地した。屈み左膝をついて着地したその後ろでは赤い紅蓮の炎が虎人の形で浮かび上がっていた。
「まさかここで出会うとはな」
 虎人は呻きながら声をあげていた。断末魔の声だった。
「髑髏天使・・・・・・」
「髑髏天使が何かは知らないが」
 後ろに虎人の声を聞きながら立ち上がる。虎人は灰になりそのまま崩れ落ち消え去っていた。彼が消え去ったところでサイドカーが牧村の横に来て止まった。
「貴様は死んだ。俺の手でな。だが」
 だがここで。彼は不意にあることに気付いたのだった。
「どういうことだ。俺は何故今みたいな動きを」
 無意識のうちに動いていたが今ようやくそれを不思議に思うのだった。続いて左手に握っている剣を見た。それは西洋にあった両刃の剣であった。
「そしてこの剣は。何だというのだ」
 ここで彼は気付いた。サイドカーのミラーに映っているその姿に気付いたのだ。そこにいたのは。
「・・・・・・俺なのか」
 その姿を見ては彼とても呆然としないわけにはいかなかった。そこにいたのは髑髏だった。西洋の、騎士の鎧を着込んでいる髑髏がそこにいたのであった。


第一話   完

                 2008・8・13
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