第八話 これが歴史です
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では行けるかもしれない。しかしその後はどうか……。キルヒアイスがラインハルトの後継者になれるか……。難しいな、奴には権力欲が無い。腑抜けになって終わりって可能性も有る。ロイエンタール、ミッターマイヤーが主導権を握る?
不安定だな……、権力を握りかけた人間が握りかけた権力を諦められるだろうか? 一つ間違うともう一度内乱になる可能性が有るな。同盟の軍事力が低下している今、内乱を起こすだけの余裕が帝国にはある。帝国の分裂か、そうなると辺境の未来は明るいとは言えないな……。
やっぱりラインハルトか。彼を助けオーベルシュタインを無力化する。それが俺にとっても辺境にとってもベターだ。材料は多い方が良いんだがその材料の一つ、ヴェスターラントの惨劇、こいつがどうなるか分からない。起きない可能性も有るだろう。
ここに居た方が対応しやすいと思って待っていたんだがブラウンシュバイク公も自分の事で手一杯でヴェスターラントに関わっているような余裕は無いかもしれない。いや、例え有ったとしてもキフォイザーだけで十分、ヴェスターラントを見殺しにする必要は無いとラインハルト、オーベルシュタインが判断する可能性も有る。
問題は何時シャイド男爵がヴェスターラントから叩き出されるかだ。何度か暴動が起きているのは分かっている。もう八月二日だ、時期的にもう少し後だと思うが今起きてもおかしくは無い……。キアを始め若い連中には貴族の私有地について状況を調べろと言って有る。じりじりしながら待っているんだが、何も起きない可能性も有る、或いはヴェスターラント以外で事が起きる可能性も有るだろう。さっぱり読めない。
「ところで例の件、どうしますか。何時でも行けると爺さんからは連絡が来ています」
「そうですか……」
ヴィルヘルム・カーン、爺さんと呼ばれる男……。先代の信頼する友人であり部下だった。先代の死後、身体が思うように動かなくなったと言って艦を降り後方を纏めている。
「上手く行くと思いますか?」
俺が問いかけるとアンシュッツはちょっと小首を傾げた。不安にさせるなよ……。
「さあ、私には分かりません。しかし、やるなら今しかないでしょう。爺さんも今しかないと言っています」
そうなんだ、やるなら今しかない。しかしなあ、迷うよ。
「難しい任務になる、と思います。そこまで危険を冒す必要が有るのか……。自分で計画していてなんですが、どうにも判断できない……」
「親っさんは運が良いですからね。上手く行くんじゃないかと思うんですが」
アンシュッツ、笑いながら言われても少しも自信がつかないぞ。この運ってのが当てにならないんだ。こいつを信じて失敗した奴は幾らでもいる。
「運の良い人間と言うのは何処までを運に任せるか、それを理解している人間だ
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