第五話 可能性を探る
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にとっても同様だろう……。
邪魔だな、オーベルシュタインとヤン・ウェンリー。辺境にとっては極めて危険で邪魔だ……。あの二人、自分の目的を果たすためには手段を択ばないところが有る。片方は積極的、もう片方は嫌々だが。
「親っさん、どうしました、大丈夫ですか?」
気が付けば肩を揺すられていた。アンシュッツが心配そうな顔で俺を見ている。どうやら思考の渦に飲みこまれていたらしい。
「いや、なんでもありません。前途多難だと思ったんです」
無理に笑顔を浮かべるとアンシュッツがホッとしたように息を吐いた。
「親っさんの考えは分かりました。オーディンに事務所を開きましょう。場所を探させます」
オーディンとイゼルローンか……、危険なのはもう一つ有るな。
「それとフェザーンにも事務所を開きたいですね」
「フェザーンですか……、なるほど、良い考えです。オーディンだけならあれですがフェザーンも一緒なら周囲にはウチの事業拡大と説明できます」
アンシュッツが満足そうに頷いている。事業拡大か……、表向きはそれを装いつつルビンスキーの動きを探らせるべきだろう。
四月になれば内乱が始まる。そろそろ辺境に帰らないといけないだろう。帰る前にカールとフィーアにお土産を買わないと……。ラインハルトは同盟にも内乱を起こさせるべく工作したはずだ。四月になれば帝国も同盟も相手の事を放り出して国内の平定に全力を尽くす事になるだろう……。
……そうか、内乱が始まればラインハルトもヤンも身動きが取れなくなるな。お互いに自分の事だけで手一杯になるはずだ。となれば……、可能かもしれない……。今の俺ならできるだろう、そして内乱だからこそ可能な手だ。危険ではある、タイミングも難しい、だが賭けてみる価値は有る、……やってみるか……。
「……副頭領」
「はい」
アンシュッツが俺を見た。どうする、止めるか、危険は大きい……。ハイリスク、ハイリターンだな……。大きく息を吐いた。
「……二百人程退役軍人を集めてください。比較的若く、実戦慣れしている退役軍人を」
「……退役軍人ですか」
「それとウチの人間で二千人程、しっかりした人間を用意してください」
「親っさん、それは……」
まだ可能性が見えただけだ。実行すると決めたわけじゃない。先ずは準備だ……。不審を露わにするアンシュッツを見ながら自分に言い聞かせた。可能性が見えただけだと……。
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