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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第一話 黒姫
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泣く子も黙るとは言いませんが親っさんをコケにする様な馬鹿は居ません。昔それで痛い目を見た阿呆が居ましたからね。

昔、親っさんを姫さんみたいな女顔と言った馬鹿な海賊がいた。百隻程度の武装艦を保有していたんだけどウチの縄張りにちょっかいは出すわ近隣星域で略奪は繰り返すわで海賊仲間からも鼻つまみ者だった。けど親っさんが戦闘に持ち込んで奴ら全員をブラックホールに叩きこんでしまった。

皆顔面蒼白になっていたけど親っさんだけは平然としたものだった。“これで宇宙も少しは綺麗になるでしょう。生ゴミは早く処分しないと腐りますからね……”それが全て片付いた後の親っさんの言葉だった。おまけにクスクス笑ってた。あの時はもうちょっとで小便ちびる所だったよ。

それ以来どういうわけか他の海賊達が親っさんの事を“黒姫の頭領(かしら)”と呼ぶようになったんだ。二つ名で呼ばれる海賊なんてなかなか居ない。親っさんは間違いなく立派な海賊だ。皆がそれを認めてる。それなのに“親っさんと呼ぶな”なんて……。

見かねたのかもしれない、アンシュッツ副頭領が助け船を出してくれた。
「キアの言う通りです。そりゃ親っさんは元は軍人だ。司令とか艦長とか呼ばれたいのかもしれませんが俺達は海賊なんです。船を動かすのは船長、船団を動かすのは船団長、一家の頭領(かしら)は親っさん。これには慣れて貰わないと……。他の組織からも笑われますよ」

また親っさんが溜息を吐いた。
「……分かりました、慣れるようにします。……私はクラインゲルトに着くまで部屋で休みます。アンシュッツ副頭領、あとを頼みますよ」
「承知しました。到着一時間前には御戻りください」
親っさんは頷くと席を立って部屋に向かう。俺達は姿勢を正して親っさんを見送った。

「慣れるようにしますって言ってたけど……」
「多分また止めろって言うよな……」
「あれさえなければ良い親っさんなのに……」
俺がぼやくとアンシュッツ副長に思いっきり横っ面をぶん殴られた。俺だけじゃない、ウルマン、ルーデルも一緒に殴られた。

「馬鹿野郎! あれさえなければとは何てぇ言い草だ! 親っさんを悪く言うんじゃねえ!」
「……」
「分かっているのか、お前ら。俺達が今こうして居られるのも親っさんのおかげだって事を……。キア、どうなんだ」
「それは、分かっています……」

アンシュッツ副頭領が怖い目で俺達を睨んでいる。分かってますよ、副頭領。
「いいか、親っさんがこの一家に加わった時、一家は武装艦百隻、輸送船五十隻程度の小せえ勢力だったんだ。いつ潰れてもおかしく無かったし他の連中に潰されてもおかしくは無かった。だがな、今はどうだ。武装艦は五百隻、輸送船は三百隻を超えるまでの勢力になった。この帝国でも黒
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