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愛撫
第二章

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 俺を食ってきた、文字通りにそうしてきた。時には俺を自分の家に連れ込んでそして俺の家に電撃訪問してきてだった。
 部屋で二人きりになると扉に鍵をかけて俺の身体を隅から隅まで貪った、俺は自分が楽しい思いをするというよりだ。
 先輩に搾り取られた、毎日そうされてその中でわかった。
「愛撫ってあれは男を喜ばせるものじゃないんだよ」
「元気にさせる為のものか」
「敢えて気持ちよくさせて」
「そうさせるものか」
「そうしたものでな」
 中学時代のツレ連中に久し振りに会った時に話した、全員彼女が出来たので気兼ねなく話すことが出来た。
「何度も出したら普通それで終わりだろ」
「だよな」
「流石にな」
「そうなるよな」
「男はそうでも女は違うんだよ」
 俺はこのこともわかった。
「何度だって出来るんだよ」
「だからか」
「自分が満足するまでか」
「男を元気にさせてくるんだな」
「それで触ってくるんだよ」
 愛撫してくるのだ。
「もう俺が今付き合ってる先輩なんてな」
「まさにその為にか」
「触って来るんだな」
「愛撫してくるんだな」
「そうだよ、男を気持ちよくさせる為じゃないんだよ」
 決してだ。
「自分がもっと楽しむ為にな」
「やるんだな」
「俺達そこまでいってないけれどな」
「愛撫ってそんなものなんだな」
「そうだよ、女ってのは獣なんだよ」
 性のそれだ。
「気を付けろよ、男もそうした欲あるけれどな」
「女はもっとか」
「もっと凄いんだな」
「そうなんだな」
「ああ、凄いぜ」
 こう中学時代のツレ連中に話した、そして後日皆俺の言う通りだとわかった。俺は兎に角先輩と一緒にいてだ。
 とことん搾り取られた、毎日そうされた。その中で愛撫も受けたが兎に角それで無理にでも元気にさせられていった。
 そして俺はわかった、愛撫というものが女というものが。心底恐ろしいということが。
 けれど先輩と一緒にいて悪いと思ったことはなかった、そのままずっと付き合ってお互い大学に行って就職もして結婚してだった。
 俺は奥さんになった先輩との間に子供ももうけた、そして愛撫は怖いだが決して悪いどころか受けていいものだとの考えに達した。中学時代の俺から思うと信じられないがそうした考えになっておっさんになった俺は思わず笑ってしまった。


愛撫   完


                     2023・9・27
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