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不可能男との約束
抑制という名の衝動
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ようやくかと内心で熱田は呟いた。
長かった。
十年は本当に長かった。
別に、トーリと約束したことについて何の不満も、後悔もないし、間違ったことをしたなんて微塵も思ってはいない。
しかし、不満はなくても───やはり、満足感は得られなかった。
自分で決めたこととはいえ、剣神が剣を表だって振るわないというのは、やはりストレスが溜まるものである。
文字通りの剣神にとっての半身をずっと表だって使わなかったら、ついその半身が体育などを見ていると疼くというものである。
だけど、それでも押さえ続けてきた。
トーリが動くまで我慢すると自分で誓ったのだ。この中で一番悲しみに囚われて、後悔を抱き続けた親友が動くと決意するまで絶対に我慢すると決めたのだ。
それくらい我慢できなかったらトーリの横に立つ資格はないと思ったからである。
そしてその我慢は報われたと思う。
今はもう臨時生徒会は終わりに向かっている。
直政の地摺朱雀に対して、シロが相対し、勝利し、ネイトが騎士代表として降伏をしようとする相対に鈴が出ることによって騎士の誇りを思い出させ、そして今は正純とトーリとの相対。

……まさか初っ端からいきなりかましてくれるとは思ってもいなかったぜ……。

この臨時生徒会を始める理由であったホライゾンを助けに行くという俺達の目的を一瞬でポイ捨てして「やっぱ、ホライゾン救いにいくの……止めね?」なのだ。
お蔭で鈴が倒れたり、正純が狼狽したり、喜美が踊りだしたり、ウルキアガが無駄に竜息を吐いたり、イトケンが何故かサムズアップしたり、ネンジのねばねばが何故か光ったりと大変だった。
というか、正純と鈴以外の人間の行動は狂っていたので、こりゃ駄目だなと一瞬で判断したが。
相も変わらず、人の意表を突くことが上手い馬鹿である。
あ。だから馬鹿なのかと改めて理解した。

『おい! 初めて馬鹿を哲学的に理解できたぜ!!』

『馬鹿は馬鹿を理解できるっていう哲学ね……』

『流石はトーリの親友だな……拙僧、思わず塩を撒きたくなってきた』

『塩で撃退出来ればいいんだけどねぇ……』

『ナルゼ……ウルキアガ……ナイト……てめぇ……何か俺に恨みでもあんのかよ……』

表示枠で密かに皆にメールを送ると痛烈な返しで思わず呻いてしまった。
ヘルプに智の方に目を向けると、何故か良いんですよと儚げな微笑をされて顔を背けられた。
敵はやはり、世界ではなく身内であるらしい。
今度絶対復讐してやると心に誓い、トーリと正純の相対を観戦する。
そこにはうちの欠食従士であるアデーレが何か桶を持って正純に渡している。
そこから出てるのは黒藻の獣である。

「あれって……」

「確か下水道とかに住み着いているよね。色々と汚れとか取ってくれるんだけど……それの
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