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十個の太陽
第一章

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               十個の太陽
 今太陽は一つである。
 だがかつては十あった、それが何故一つになったかというと。
 その時世にはある桑の木に燃え盛る身体を持つ十羽の烏、火烏と呼ばれる彼等がいてその彼等がだ。
 口から火を噴きそれぞれ太陽を世に出して動かしていた、そして十個の太陽が世を照らしていた。だが。
 十羽がそれぞれ思うままにそれぞれの太陽を動かしていた、その為。
「何時何処に日が出るかわかりません」
「それぞれの火烏の思うままです」
「夜に日が出たりです」
「早く出たり遅く出たり」
「また高かったり低かったり」
「まとまりがありません」
「実に」
 世を治める帝である尭に廷臣達が困った顔で話した。
「その為です」
「世は乱れています」
「如何しましょうか」
「一体」
「そうだな、それにだ」
 尭も言った、玉座に座り切れ長の目に長い髭を持つ堂々とした姿であり世を治める者として相応しいものである。
「日一つ一つが小さくだ」
「世を照らしきれていません」
「昼といえど位です」
「当然朝もです」
「どうにも困ったものです」
「この状況は」
「十個揃ってだ」
 太陽がとだ、尭は言った。
「それで充分に照らせられる位だな」
「はい、世を」
「そうした位です」
「十個の日が一つになり」
「そのうえで」
「それならだ」
 自分の前にいる廷臣達に話した。
「日を一つにしてだ」
「そうしますか」
「十ある日を」
「そうしますか」
「そして火烏達もだ」
 太陽を動かす彼等のことも話した。
「まとまって動かそう、だからな」
「それで、ですか」
「この度はですか」
「日を一つにし」
「火烏達をまとめますか」
「そうしよう」
 廷臣達に確かな声で述べた。
「火烏達をまとめる者も選ぼう」
「その者を選び」
「日をまとめさせますか」
「そうしますか」
「そうだ、十の日を一つにしてだ」
 そしてというのだ。
「火烏達をまとまって動かさせる、昼と夜の時がな」
「同じ位になる様にしますか」
「今はそれぞれの日がばらばらに動きまとまっていませんが」
「それをですね」
「そう収めさせますか」
「また月はまとまって動いていな」
 夜を照らすものの話もした。
「そうだな」
「定まった時に昇り沈みます」
「夜の間に」
「そうしています」
「そうなる様にしよう、そうすればだ」
 尭はさらに話した。
「昼も定まる、だからな」
「これよりですね」
「日を一つにし」
「火烏達にまとまって動く様にする」
「その様にしますか」
「そしてそうさせる者だが」
 それはというと。
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