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リュカ伝の外伝
サクラサク
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節に平和をもたらせたと言われております。

もの凄く嘘くさい話ではあるのだが、その場に居合わせたスノウさんが言っているのだから、間違いの無い真実なのでしょう。
なんせ(くだん)の“雪の女王”ってのは彼女の事らしいですから。あの人何やってんだ?

そしてリュケイロム少年はエルフの女王から感謝され、妖精の国の桜の枝を貰ったそうです。
人間界に戻るや、当時暮らしていたサンタローズ村のシスターにその桜の枝をプレゼントした。
幼い頃から女誑しであった事が覗える。

プレゼントされたシスターは嬉しかったらしく、村に生えていた木の切り株に接ぎ木をして育てたそうだ。
妖精の国の桜だったからなのか、生命力が凄く直ぐに成長したそうだ。

そして何やかんやあってリュケイロム少年も大人になり、グランバニアの国王だと判明した後……王都の護岸工事に利用すべく、シスターから桜の枝を数本譲り受けて植樹したそうだ。
そうやって増やした木々から、また接ぎ木などで数を増やしていった。
数本の枝が運河の両岸を桜色に変えるなんて……凄い繁殖力である。

そんなエピソードがある桜……
なので当時の人々(お偉いさん達)はこの桜を『リュカ様桜』と名付けようとしたらしい。
コレにはゴマすりの要素もあるのだが、当人は嫌がった。

だがゴマすりは兎も角、このエピソードを広めたいと考えた時の大臣……オジロン閣下は一計を案じた。
陛下に名前の案を出させたのだ。
その時に出された名前が『じゃぁ……ソメイヨシノにして』との事だったので、この桜の品種名は『リュケイヨシノ』に決定した。

大臣は名前が決定した後、人々に浸透するまで直隠(ひたかく)しにしていたらしい。
そして時間が経ち陛下の耳にまで名前が入ってきた頃……陛下から『如何(どう)言う事?』と訊かれ『如何(どう)やら私が聞き間違えた様ですね。でも国民はこの名前で憶えちゃったのですから、今更変えられません』と言って押し通したそうだ。

私がグランバニア王家入りした時にオジロン殿が教えてくれた。
更に『あの生命力……あの繁殖力……そしてあの影響力。リュカの名前が相応しい! だから他の名前など有り得なかったよ』とも教えてくれたわ。
納得しかない。

そんな人々に愛されている桜……
私の居る土手から見下ろした所にも大勢の花見客が楽しんでいる。
お酒を手に陽気に踊る者……そんな人々に陽気な音楽を奏でる者……ん!?

「ルクレツィア……あちらは騒がし過ぎますし、城の方へと戻りましょうか」
「え? ……あ、あぁ!! 分かりました」
私は急に散歩の気分じゃなくなったので、踵を返して帰ろうとする……歌声の方から。

「ふぁぁっ!」
だが普段は大人しいアミーがグズりだした。
アイツの存在に気付
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