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リュカ伝の外伝
酒は飲んでも、飲まれるな
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ワイン!」
「え〜と……銘柄は……」
今にも一人で飲み出しそうなエウカ(エウカリス)からアイリーンさんがワインを取り上げて確認する。

「ロ、ロマン・コンティ!?」
ワインを取り上げ銘柄を確認してたアイリーンさんから悲鳴の様な声が発せられた。
今なんて()った?

「こ、これ……ロマン・コンティじゃないですか!!」
「うん。そんな名前だったと思う」
ロマン・コンティって世界一高いワインって奴でしょ!?
差し入れで貰える様な代物じゃ無いわよ!

「ちょ、見せて!!」
銘柄を聞いて目の色を変えて奪い取るのは現役キャバ嬢のサビーネ(エウカリス)さん。
流石の彼女も飲んだ事は無いのだろう……当然私も無いけどね。

「こ、これ……ソルムンド歴170年物よ! 以前オークションでサラボナ商会のルドマンって商人が3本も落札してたわよ。確か……1本55万(ゴールド)だったわ!」
1本55万(ゴールド)!?

「あぁ、昨日そのハゲから貰ったんだよ。いらねって言ったのに、如何しても2本持ってけって言われてさ。もう1本は僕とビアンカ等で飲む予定だから、余った方はあげるよ。お世話になってるからね」
陛下ともなると55万(ゴールド)のワインを2本も貰えるんですね!

「こ、これは……売って軍資金にした方が……」
金額に目が眩んでるエウカ(エウカリス)は陛下からの差し入れである事を忘れている。
「ダ〜メ!」
だが陛下は、そんな彼女からワインを取り上げると、常識人のピエッサさんへ再度手渡した。

「ワインを投機の対象にする事に反対はしないけど、僕は飲み物は飲む事を推奨する。僕の実体験と聞いた話だけど、ワインにも賞味期限があるらしくって、寝かせると味わいが出ると言っても限度があるらしい。無駄に寝かし続けるとダメになるみたいだから、飲まないと勿体ないよね。まぁ僕の実体験(場合)は数千年保存して飲もうと思ったんだけど、管理してたマヌケが僕の予想を超えるマヌケで、ワインを失いやがったんだけどね」

よく分からないけど誰かが陛下のワインを紛失したみたい。
誰よ、そんなマヌケな事をしでかす奴は!?
一体どんな保存をしていたのか……

「売るんだったら違う子にあげちゃう。如何(どう)する?」
「えぇ〜! お金があった方が、もっと良い卒業式に出来る様な気がするぅ」
絶対お金を自分の懐にしまい込むであろうエウカ(エウカリス)の発言は誰も信じない。

「金を掛けたからって良い物が出来るとは限らない。心が籠もってるか否かが重要。寧ろ金で楽しようとしてるから、心は籠もらないだろう」
流石は陛下。私も同意見です。

「で、でも陛下ぁ……55万(ゴールド)ですよ! 心が揺るがない人間の方が異常ですよぉ〜
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