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写真集が欲しい理由
第三章

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「何かあるの?」
「あっ、いや」
 大島優子さんの写真集を持ったまま返答に窮した。
「それはな」
「それは?」
「あれっていうかな」
 今度は目を泳がせて言った。
「何ていうか」
「あれ?何?」
「いや、好きだからだな」
 こう言い繕うと決意して言った。
「写真集が」
「そうなの」
「アイドルの人達がな」
「お兄ちゃんアイドルの人達好きなの」
「そうなんだよ」 
 冷や汗をかきつつ答えた。
「お兄ちゃんはな」
「どうして好きなの?」
 胡桃は小さな子らしくさらに聞いてきた。
「アイドルが」
「そ、それはな」
 また返答に窮してしまったがそれでも答えた。
「可愛いからだな」
「だからなの」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「お兄ちゃんはな」
「アイドル好きなのね」
「そうなんだよ」
 何とか言い繕った、そして従妹と今度は彼女の好きな話題に合わせて話をした。その次の日だった。
 鷲尾がクラスメイト達に胡桃の話をするとだった、クラスメイト達は困った苦笑いになってこう言った。
「どうしてかっていうとな」
「まあそれはな」
「子供には言えないよな」
「やっぱりな」
「アイドルっていうとな」
 この職業ならとだ、鷲尾は言った。
「歌やドラマにな」
「グラビアな」
「この仕事は絶対だよな」
「アイドルの必須科目って言っていいな」
「グラビアのお仕事は」
「そこで水着や下着になってな」
 そうしてというのだ。
「皆に見てもらうけれどな」
「何で水着や下着になるかってな」
「それが写真集に載るか」
「それはな」
「やっぱりな」
 何といってもというのだ。
「理由は一つだよな」
「本能だよな」
「欲望だよな」
「そのせいだよな」
「ああ、アイドルになったらな」
 それならというのだ。
「もうな」
「多くの男にな」
「そういうことに使われるな」
「そうなるよな」
「そうだよ、俺今度は新條由芽さんの写真集買ったけれどな」 
 この人のというのだ。
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