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氷蕎麦
第二章

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「迅速にな」
「そう、均等にね」
「切っていくことだ」
「麺にするには」
「手打ちだとな」
 それならというのだ。
「そこを意識しないとな」
「機械で作るものじゃないから」
「あれはあれでいいが」
 それで作った麺もというのだ。
「今のわし等はな」
「一から最後まで手打ちで」
「麺にするにもな」
「切ってだから」
「そこもしっかりとしないとな」
「そうよね、けれどね」
 ここで雪女は夫に言った。
「打つ時から気になっていたけれど」
「何だ?」
「蕎麦が冷えていくわね」
 言うのはこのことだった。
「どうも」
「ああ、それはな」
 何故かとだ、雪男は包丁を動かしつつ妻に答えた。
「わし等は雪の妖怪でな」
「冷えるからね」
「吹雪を起こせてな」
「氷も出せるから」
「だからな」 
 そうした妖怪達だからだというのだ、夫婦で。
「そうだからな」
「それでよね」
「冷えるのもな」
「当然ね」
「ああ、それならな」
「お蕎麦が凍らない様にね」
「気をつけてな」
「やっていかないといけないわね」
「適度に冷やしてな」
 そこは自分達で調整してというのだ。
「そしてな」
「作っていくことね」
「ああ、そしてな」
 それでというのだ。
「美味い蕎麦を作ろうな」
「冷えることを頭に入れて」
「そうしていこうな」
「体温の調整は出来るし」
 雪女は自分達の身体のことを話した。
「だから思うまま雪や氷も出せるから」
「それならな」
「そこは気を付けてね」
 そうしてというのだ。
「調整して」
「そうしていってな」
「作っていきましょう」
「そうだ、お湯も使うがな」
「お湯は私達の大敵だけれど」 
 共に雪の妖怪だ、熱はまさにそれであるのだ。
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