第四章
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「だがな。頑張ってくれ」
こう声をかけた。
「皆の為にな」
「はい」
にこりとして頷いた。それからすぐにポレポレを後にしようとする。そんな彼に奈々が声をかけてきた。
「何処へ行くんですか?」
「うん、ちょっと」
そう答えただけだった。深くは言おうとしない。
「すぐ戻るから」
「そうですか」
「一人じゃないだろ」
そんな彼におやっさんが声をかけてきた。
「戻って来る時は」
「ですね」
自分でもそう返す。予感があったのだ。
「じゃあ」
「ああ、コーヒーは二つだな」
「クリームも」
そう言い残してポレポレを後にした。そのまま一人コートをたなびかせ歩いていく。
一人で道を歩いていくと前から青年がやって来た。彼こそは。
「久し振りだな」
「はい」
二人は向かい合ってにこりと微笑み合った。
五代は変わっていなかった。一条も。二人の戦士が今再会したのであった。
「また、戻って来ました」
「来ると思っていたよ」
一条が五代にそう返した。
「今度の相手はかなり手強いらしいですが」
「だからこそ御前がいるんだな」
「ええ」
五代は一条の言葉に答えた。
「皆の笑顔を守る為に」
「そうだな、その為に」
一条もその言葉に頷く。それからまた述べた。
「また戦おう、いいな」
「はい!」
二人は今戦士の挨拶を交わした。それは。
サムズアップであった。爽やかな笑顔でそれを同時に出し合ったのであった。
「行くか」
その後で一条は言ってきた。
「皆が待っているぞ」
「ポレポレですね」
「そうだ。そこでな」
「おやっさんのコーヒーがまた飲めるとは思いませんでしたよ」
「俺はまた飲めたらいいなと思っていたよ」
二人はその爽やかな笑顔で言葉を続ける。
「御前とな」
「一条さん・・・・・・」
「バイクで来たのか?」
「いえ」
その問いには首を横に振った。
「歩いてです。バイクは駅に置いてきたんで」
「そうか。じゃあ一緒にな」
「ええ」
二人はそのままポレポレに向かう。新たな戦いの前に今その絆を確かめ合っていた。五代は再びクウガとなるのであった。皆の笑顔を守る為に。
仮面ライダークウガ サムズアップアゲイン 完
2007・1・14
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