第一章
[2]次話
仮面ライダークウガ サムズアップ=アゲイン
未確認生命体グロンギとの戦いが終わって暫く経っていた。一条薫はその功績により警視に昇進し今は長野県警に勤務していた。
だがそんな彼に声がかかったのである。それも警視庁からだ。
「警視庁からですか」
一条は上司である今いる長野県警特捜部部長の話を聞いて彼に顔を向けていた。今彼はその特捜部の部屋にいる。これといって愛想のないその事務的な部屋の中で警察の制服の上司と向かい合っていたのである。
彼はスーツにコートであった。これはかつてグロンギと戦っていた頃から変わらない服装である。その服装で今も長野県警で勤務しているのである。
「そうなんだよ」
やや太って丸顔の部長がそれに答えてきた。
「転勤ということでね」
「転勤」
その言葉を聞いた一条の目が光った。
「転勤ですか」
「うん」
部長は真剣な顔で答えてきた。冗談を言っている顔ではなかった。
「その通りだ。よいかね」
「ええ。ですが」
彼はここでどうしても聞きたいことがあった。それで問うた。
「グロンギはもう一人もいなくなった筈ですね」
「それはな」
部長もそれは認めてきた。どうやらそのうえでの話であるらしい。
「私も確認している。間違いはない」
「では一体」
「普通の転勤だとは考えないかね、やはり」
「ええ」
普通ならそう考えるべきであった。だが彼はそれを直感で感じていたのだ。そうではないと。だから今部長の言葉に対しても何かを感じていたのである。その何かがまた彼を大きなうねりの中に引き込んでいくこともまた察していたのであった。
「何かありますね」
「私は詳しいことは聞いてはいない」
部長はまずはそう断ってきた。
「しかしだ」
「しかし・・・・・・ですか」
「そうだ。間違いなく何かがある」
彼はそれを今はっきりと述べてきた。
「詳しいことは東京で聞いてくれ。だが」
「ええ、わかってます」
一条も真摯な顔で頷いた。直感はもう確信に変わっていた。
「また。戦います」
「うん、頼むぞ」
こうして彼は東京に向かうことになった。そしてまた一人の戦士も運命に導かれることとなっていたのである。
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