第01部「始動」
第09話
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
--
…さて。
これからの事を思案する。
今俺は宇宙連合の艦隊の中に居る。引渡しに関しては何の問題もなく、滞りなく行われた。
「…時間通りだね」
アカツキはそう言って艦橋の入り口を見つめる。
「自分は宇宙連合所属、紫藤徹少佐です。コロニー襲撃者逮捕にご協力頂き感謝する」
元木蓮…だろうな。
視線で人が殺せるかと聞かれれば、出来るかもしれない。紫藤と言った男は、拘束具をつけられた俺を鬼の形相で睨んでいた。
「では、連行させていただく。おい」
手を振ると、紫藤の後ろから二人ほど駆けてきた。同時に、俺の横に立っていたネルガルの男二人が離れる。
「少しくらい話す時間をくれてもいいんじゃない?」
二人に拘束されながら歩く。アカツキの後ろに立っていた為、横に避けないといけないがアカツキがこちらを振り返ってきた。
「…申し訳ないが、我々は早急に本部に向かわなければならない。然るに認められない」
お堅いねぇ。心の中じゃそう思っているだろう。アカツキは仕方がないと横に退く。
「やっと会えたな…俺は貴様を許さない。許可があれば今すぐに…」
紫藤が塵でも見るような目つきで見ている。
この目には覚えがある。怒りを通り越した怨みの怨嗟。俺はコイツにとっての俺になっているのか?
「…」
「何だその目は…」
紫藤の左手の甲が側頭部を打った。
「自決防止用のマスクじゃ喋られないんじゃない?」
「…戻るぞ。連れて行け」
「テンカワ恨むなよ。これも運命さ」
演技派を気取っているのか。芝居口調でアカツキが背中に投げつけてきた。
ああ。恨むことはない。もしも本当に売られたのだとしても…
--
「何か言う事はない…のか」
…しまったな。つい考え込んでいた。
尋問でも行うのか?拘束は解かれて今は椅子の上に座らされている。対面には紫藤が座わり、慮両隣には白服が二人詰めるように立っている。
何をだ?そんな言葉を目で語る。
「貴様!!罪の無い人を殺し、あまつさえコロニーに被害を与えておきながら何故そこまで飄々としていられる!!!」
立ち上がり、拳を握る。
この男…
「誰か近しい人間が巻き込まれたのか?」
「そんな事は関係ない!コロニーは何万という命を守っているんだぞ!それを…貴様は危険に晒した…断じて許せん」
…似ているな。あの男に。
記憶に浮かぶのは、白い服を真っ赤に染めた男。
「…」
「答えろ!貴様は先の戦で戦争を止める為に動いたと聞いた…それが何故!」
机にひびが入る。
「言っても分からんさ」
「何だと?」
「お前は月臣と同じだ。知っても決して納得しない。俺から言うことはない。さっさと始末しろ」
出来はしないだろうがな。
「それは出来ん。貴様のような外道でも、法の
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ