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リュカ伝の外伝
絵画とは心で捉えるもの!
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そうだ。父ちゃん母ちゃんの絵と王様の絵を描いて、それでも時間が余ったから(つい)でにウルポンの事も絵に描いたんだ。あげる」
絵を描く事業が何時間くらいあったのかは判らないが、あのクオリティーの絵を描いて更に時間が余ってるなんて……天才か!?

「何だよ、結局俺の事を尊敬してんじゃんかよ」
「尊敬してないよ。時間が余ったんだよ」
8才(推定)には少し大きい鞄から、再度取り出された絵……宰相閣下(ウルポン)は受け取りながら凄く嬉しそうだ。

「……オイ! 何だ、この落書きは?」
先刻(さっき)の絵のクオリティーを思い出し、私(と室内のほぼ全員)は興味津々で新たな絵を覗き込む……だが閣下の台詞通り、落書きに見える。

「落書きじゃないよ。チューショーガ(抽象画)だよ。学校の先生が『素晴らしいチューショーガ(抽象画)ね』って言ってたもん」
抽象画? 詳しく概念は解らないけど、そんな言葉は聞いた事がある。

「あ……絵のタイトルは、裏に書いてあるよ」
そう言われ直ぐに絵を裏返し確認する宰相閣下(ウルポン)……
そこには拙い字で『ごくあく宰相』と書かれている。

う〜ん……言われてみれば、そんな絵に見えない事も無い。
全体的に暗く、中心には閣下と思われる顔の歪んだ男性(?)が描かれている。
やはりこの少年は天才なのかもしれない。

「うるせー、何が『ごくあく宰相』だ! サッサとリュカさんの絵を本人に持っていけ! あとお前字が汚ーぞ! 字の練習と勉強しろ!」
「あははははっ、ウケるぅ(笑)」
相変わらず大人気なく怒鳴り散らし、警備兵共々部屋から追い出す宰相閣下(ウルポン)

不機嫌さを増した様に見えるが、パブロ少年等が出て行った直後、嬉しそうに受け取った絵を机の引き出しに綺麗に仕舞う宰相閣下を垣間見た。
何時(いつ)もこうなら可愛いのに……

ユニSIDE END




<追記>
凡そ13年後……
パブロ・ピカンは希代の天才画家として世界中に名を轟かせる事になる。

更に晩年になって雑誌のインタビューでは、最も影響を受けた画家の名に、“極悪宰相”と答えている。

そして死後50年が経ち、とある名家からパブロ・ピカン作の『ごくあく宰相』というタイトルの絵が発見され、天才が名の知れ渡る以前に描いた作品としてオークションで5000万(ゴールド)で落札される事となった。

だが遙か未来の事である。




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