暁 〜小説投稿サイト〜
魔法使い×あさき☆彡
第三十三章 惑星の意思
[1/20]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

     1
「わあ」

 アサキは思わず、感嘆の声をあげていた。

 芝生の坂を降りて、公園内の敷地に入り込んで人工樹の茂みを抜けたところ、目の前に池や噴水、様々な遊具類などの眺めが広がっていた。
 こんなところにこんなものが、と思わず驚きの声が漏れてしまったのである。

「こりゃあ、まるで遊園地じゃのう」

 治奈(はるな)のいう通り、敷地には様々な遊具が設置されている。
 ローラーコースターっぽい、列車やレール。
 メリーゴーランドっぽい(ただし馬ではなく、なんだか未知の四足生物)もの。
 何故だか、妙にぐにゃぐにゃと歪んだデザインになっている。さすがに、ローラーコースターのレールが歪んでいたら危険なので、そこは通常のようだが。

 ぽい、というのは、アサキたちの知るものと色々なズレがあるからだ。
 人工惑星が地球から旅立った西暦五千年と、アサキたちの知る仮想世界での西暦二千年、その感覚のズレに起因するものか、それとも別に作り手の思惑があってそこに左右された認識ズレか、そこまでは分からないことだが。

「この人工惑星は、地球の文明を知らしめる役割を兼ねてもいますから。先ほどの居住区と同様、異星人を勝手に想定して、汎用性も持たせた結果、ちょっとズレた感覚になっているのです」

 ヴァイス語るには、そういうことのようである。

「こがいなところ訪れておる間に、シュヴァルツたちにサーバを壊されたりはせんのかのう?」

 遊具を見回し眺めを楽しみながら、不安にもなったか治奈が尋ねる。

 不安になるのも当然というものだろう。
 この惑星の内部にある超次元量子コンピュータが作り出す仮想世界は、まだ現存しており、そこには(ふみ)()たち、仮想存在の人類がこれまでと変わらぬ生活をしているのだから。
 少し前まで自分たちのいた、本物と思っていた世界であり、その世界をシュヴァルツたちは破壊しようとしているのだから。

「ま、大丈夫なんだろ」

 言葉を返すのは、茶髪ポニーテールの少女カズミだ。

「あたし、コンピュータとかよく分からないけど。……この惑星全体がコンピュータみたいなものなんだろ? でも、これまで平気だったんだろ?」
「カズミさんの、仰る通りです。地下へはわたし、またはわたしが許可した者しか、行かれません」

 白い衣装を着たブロンド髪の少女ヴァイスの、幼い顔ながらやわらかで落ち着いた声。

「であればこそ、あいつらはなにか画策しているわけだけど、でものんびり対策を立てる時間だけはあるってわけだな」

 さっすがあたし、とでも思ったかカズミは笑みを浮かべてふふんと鼻を鳴らした。

「いえ、そうもいっていられないのです」

 自画自賛も即行で否定されたが。
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ