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銀河日記
葬儀
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帰還し、束の間の休暇を取っているのであった。休暇は恐らく、年が明けて次の出動命令がかかるまでは続くだろう。

弟と義妹の葬儀の終了から4時間後、屋敷のベルが鳴り、来客を告げた。ミュッケンベルガーの屋敷にやってきたのはアルブレヒトであった。予想できたことだと、内心でため息をつきながら、彼は客を屋敷の中に招き入れた。

「伯父上。御話があって参りました。」
「帝国軍士官学校の試験を受けるのであろう」
「御分かりでしたか」
向かい合って座り、アルブレヒトが切りだすのに合わせてミュッケンベルガーはそう言った。アルブレヒトは少し驚いた。この先の行動を読まれていたのだ。

オーディンの中心街に聳え立つ帝都大学や、歴代の皇帝の名を冠した国立大学に進み、内務省なり、財務省なりの省庁に出仕して官僚となる道も十分選択肢として考え得るのだ。だが、彼の言葉にも、アルブレヒトの思いにも迷いはなかった。

「お前が望む事は、文の道を極めても実りはしまい。・・それならば軍人である方がいいだろう。それに軍人の方が棒給も高い。生活にも困らんだろう。他の人間にもとやかく言われることもあるまい」
ミュッケンベルガーは目を閉じ、抑揚を抑えてそう言った。彼にはこの甥が目指す処が何か、薄々見当がついていた。最も憎むものの排除。それが目的だった。最も近い道が何か、それを彼なりに考えたのだ。

「有難うございます。伯父上」
「但し、一つ条件がある。」
甥の感謝の言葉に眼を開いてミュッケンベルガーは付け加えた。
「お前が退役するまで、必ず生き延びろ。それが私の課す唯一の条件だ。」
「・・善処いたします」
ミュッケンベルガーの言葉に対して、すぐに“承知しました”とは、アルブレヒトには言えなかった。両親の未来でさえ自分が目の当たりにしたように急に変わるのなら、自らはいったいどうなるのだと思わずにはいられなかったからだ。

銀河帝国軍士官学校の試験は毎年5月中旬に行われる。願書の提出と試験まではまだそれなりの期間がある。今日から、彼には寝る間も惜しむような毎日が続く事になるだろう。だが、目的が決まっている以上。燃え尽きることはない。炎は燻りつつ、胸に宿り続けていた。

帝国歴472年7月8日、アルブレヒト・ヴェンツェル・フォン・デューラーは銀河帝国軍士官学校の門をたたいた。

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