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養子だから何だ
第二章

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「漫画家だよ」
「だからか?」
「そうだよ、そっちの仕事があるし」
 それにと言うのだった。
「工場の仕事向いてないよ」
「そうか?」
「兄ちゃんは工業系の大学出てるけど俺芸術大学だしね」
「私も旦那もね」
 上の妹も言ってきた。
「工場で働かせてもらってるけれど」
「やっぱり跡継ぐのはお兄ちゃんでしょ」
 下の妹も言った。
「社長さんには一家で一番向いてるしね」
「しかし俺はな」
「だから養子とか言うんじゃない」
「いつも言ってるでしょ、あんたは私達の子供よ」
 また両親が言って来た、今度は二人共咎める様な口調と表情になっている。その声と顔で言うのだった。
「血がつながってない?そんなこと関係ないわ」
「ずっと一緒にいて絆があるんだぞ」
「愛情だってあるし」
「それでどうして親子じゃないんだ」
「親子は絆か」
 修三は両親の言葉を受けて言った。
「そうなんだな」
「そうだ、だからな」
「いつも言ってるでしょ」
「わし等の子供は四人だ」
「お婿さん達入れて六人になったけれどね」
「そして長男はお前だ」
「そのことは何があっても変わらないわ」 
 こう言うのだった。
「だからな」
「工場お願いね」
「そうなんだな、俺はこの家の子供で長男なんだな」 
 修三は今完全にそのことを受け入れた、そのうえで言っていった。
「それじゃあ」
「そうだ、工場頼むな」
「これからね」
「うん、継ぐよ」
 笑顔で答えた、そうしてだった。
 修三は社長になり工場を切り盛りする様になった、工場は彼を中心として家族そして社員達が頑張ってだった。
 立派なものにしていった、そして修三はその中で結婚して家庭も持ち両親と兄弟それに息子と幸せに暮らしていった。そこにある絆は確かなものであった。


養子だから何だ   完


                    2022・9・23
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