暁 〜小説投稿サイト〜
人を呪わば
第五章

[8]前話 [2]次話
「その感情がね」
「あまりにも強く」
「おかしくなっているよ」
「そうですか」
「うん、人を呪い過ぎているよ」
「呪いですか」
「そう、だからね」 
 長内はさらに話した。
「彼はああしたことをして」
「まだ怨みや憎しみが消えていないですか」
「永遠に消えないんじゃないか」
 こう言うのだった、遠い目で。
「もうね」
「その念があまりにも強くて」
「その為にね。怨んで憎んで」 
 野上の様にというのだ。
「呪いになると」
「ああしてですか」
「そう、復讐鬼にもね」
「なりますか」
「それが彼だろうね、人間怨みや憎しみに囚われて」
「それが呪いにもなると」
「復讐鬼になって」
 そうしてというのだ。
「ずっとそれに囚われてね」
「一旦怨みや憎しみを晴らしても」
「それが消えないでね」
「まだ何かしようとしますか」
「そうだよ、そしてそんな姿を見て」
「他の人達はですね」
「彼から離れるよ、彼は確かに努力したよ」 
 子供の頃のいじめからというのだ。
「けれどね」
「怨みや憎しみからはじまって」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「それに支配されて」
「復讐鬼になって」
「人も離れていくよ」 
「そうですか」
「だからね」
 それでというのだ。
「彼はこれから孤独な人生かも知れないね」
「誰からも疎まれる」
「実際好きにはなれないね」
「はい、したことを見ると」
「人を呪わば穴二つ」 
 長内はここでこの言葉を出した。
「俗に言われるけれどね」
「嘘じゃないですね」
「そうだよ、それは本当のことでね」
「復讐鬼になってですね」
「心が荒んでね」
 今の野上の様にというのだ。
「実際にどう見てもだね」
「あんなことをするんですから」
「そう、心が荒んでね」
「しかも人から疎まれる」
「だから穴二つだよ」
「そうですね」
「怨みや憎しみを晴らされた人達も」
 彼等もというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ