暁 〜小説投稿サイト〜
不可能男との約束
始業式を告げる鐘
[1/12]

前書き [1] 最後 [2]次話

「なぁ、約束しようぜ」

「何を約束するんだ?」

そこにいるのは、どこにでもいる普通の二人の少年だろう。
何一つとして、変ではないし、特徴もそこまでないであろう二人の少年。どこにでもいる普通に生きている少年のように客観的には思える。
だけど、実は、片方の少年は馬鹿で、何一つ、一人では何もできない少年で、もう一人は剣であった。
ある意味対照的で、ある意味似たような二人であった。

誰かの助けを貰わなきゃ、何一つとして、何かを達成できない馬鹿の少年。

誰かの意志がなきゃ、振るうことも、何を斬ればいいのか考えなきゃいけない剣のようなやはり馬鹿な少年。

後者の少年はある程度、何かを成し遂げることが出来るかもしれないが……それでも、一人では、そこまで何かを達成するのは難しいだろう。
何せ、ここは極東の地。
東の極みと言われ、世界各国から暫定支配を受けている土地だ。自分達の夢すら叶える事が難しい場所。
夢を見る事は許されても……夢を叶える事は赦されない被罰者達の土地。
そんな場所で、二人の少年は約束をしようとしている。

「ああ、俺さ。何時か、王様になるんだ───皆の夢が叶うように、■■■■■が夢を持てるような、そんな王様になるんだ」

「……ふーん」

何もできない馬鹿の少年の台詞に、もう一人の少年は興味なさそう姿勢(ポーズ)で聞いてるだけ。
後半の人名が出た時、少年は眉をひそめたが、馬鹿の少年は気にしない。
だから、剣の少年は思った。
この馬鹿は自分の言っていることを本当に理解しているのかと。
皆の夢を叶える事が出来る王だなんて、馬鹿げた夢物語だ。子供でも解るアホらしい話。そういう意味では、子供らしいと言えるのかもしれないが、それ本気(・・)で望むというのならば話は別だ。
さっき言ったように極東は暫定支配を受けている。
皆の夢を叶えるというならば、それを何とかして変えるしかない。そして、それは勿論のことだが、容易どころか、それならば、世界チャンピオンとかを狙った方が遥かに楽だろう。
つまり、こいつは世界を変えてみせる(・・・・・・・・・)と言ったのだ。馬鹿らしい妄想だというのは簡単だろうけど、この馬鹿は絶対本気で言っているから達が悪い。
こちらの思いを知らずに、馬鹿の少年は話を続ける。

「俺は何もできやしねぇ。でも、俺は上を望む事だけは忘れねぇ。だから、夢も諦めねぇ」

「馬鹿らしくて結構な話だなぁ、おい。それで? そんな話を聞かせて、俺にどうしろと。斬ればいいのか? あん?」

「おいおい。お前のその何でも斬ればいい思考は話が速すぎるぜ。男なら、やっぱ、斬るより突くだろう! なぁ!?」

「ば、馬鹿野郎! 俺、それに答えたら絶対に変質者だろうが! 男なら、やっぱり、モミ
前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ