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モンスターハンター 〜故郷なきクルセイダー〜
霊峰編 決戦巨龍大渓谷リュドラキア 其の十二
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「う、うぅ……!」
「おい、しっかりしろッ! こんなところでくたばるんじゃあないッ!」

 ドスイーオス達との戦いで激しく負傷し、回復薬も尽きているアーギル達は、瓦礫に潰されかけている防衛要員達の救助に当たっていた。その背後では、気力だけを頼りに老山龍に向かって行くクサンテ達の雄叫びが響き渡っている。

「……! あれはッ……!?」

 だが――真っ先にラオシャンロンへの攻撃を仕掛けたのは、先陣を切っていたクサンテではなかった。

 彼女よりも疾く、彼女よりも鋭い一閃を放ったのは――遥か上空から突如飛来して来た、漆黒のリオレイアだったのである。その両翼にある鋭利な爪は、老山龍の堅牢な外殻すらも破り、その内側の肉に深く食い込んでいた。

 クサンテ達はそのリオレイアの登場に驚いてはいるものの、敵意は向けていない。そのリオレイアも――そこに跨っている「ライダー」の青年も、顔馴染みの仲間だったからだ。

「ようッ、待たせたな皆ッ! 『相棒(リルス)』を連れ出す許可を取るのに、随分と時間が掛かっちまったが……ここからは、俺達(・・)も混ぜて貰うぜッ!」
「バンホー……!」

 ルトゥ村出身の竜人族、バンホー。リオソウルシリーズ一式の防具を纏い、フレイムスロワーを構えている彼は――漆黒のリオレイアに跨り、上空からこの戦場に駆け付けて来たのだ。その様相はさながら、御伽噺の竜騎士のようであった。

 若くしてアルカラ大陸を去り、ドンドルマ、メゼポルタ、ロックラックを中心に旅を続けて来た彼は、漆黒のリオレイアこと「リルス」を「相棒(オトモン)」としているライダーであり――その生態の解明を目指している、ハンターでもある。? 強くなればなるほど、謎を解くための行動範囲は広がる。それ故に、ハンターとしての上位昇格を目指していた彼は、このクエストに参加する決意を固めていたのだ。?

「リルスも連れて来たの……!? よくギルドの許可が降りたわね!?」
「この異常事態だ、ギルドだって藁にも縋る思いなんだろうぜッ! ……尤も、ウチのリルスは藁なんて可愛いモンじゃあないんだがなッ!」

 だが、未だに謎が多いリルスをこの現場に連れ出す許可を正式に得るのは、容易ではなく――今に至るまで、バンホーはドンドルマから動けずにいた。
 その鬱憤を晴らすかのように、バンホーが駆るリルスは両翼をはためかせ、ラオシャンロンに強烈な火球を放っている。最も得意とする絆技「フレイムシェイバー」の体勢だ。

「さぁ、こいつでとどめッ……!?」

 だが、それを簡単に許す老山龍ではない。リルスを明確な「敵」と認識したラオシャンロンは、とどめのサマーソルトキックを放とうとしたリルスに狙いを定め――

「ぐわぁあぁあッ! リ、リルスッ!」

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