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少女は 見えない糸だけをたよりに
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 島に行く日、巧はジーンだろうから、合わせるつもりで、私は、思い切って、ジーンの短パンにした。お姉ちゃんに「又 そんな恰好で・・日焼けしても知らないよ ちゃんと日焼け止め塗っときなさいよ それに、他の男の眼も釘付けだよ」と、言われながらも、私達は、朝早く京都駅で待ち合わせをして、巧も一瞬、釘付けだった。新大阪で新幹線に乗り換えて倉敷へ、それから又、在来線に乗り換えて船乗り場に向かった。途中の駅でお弁当を買っていたので、船に乗る前に食べてしまっていた。

「やっぱり 香波のんほうがおいしいな」

「うれしいな そういう風に言ってくれるのんって」

「あの時 香波と約束しようと 決心して ここから、島に渡ったんだ 人の運命って どう変わるか、わからないものだな 希望が消えてしまって だけど 又 こうして希望が戻って来るなんてな」

「私も そう 不安と期待だけで ここから 旅立って こんな幸せが戻ってくるなんて・・ 巧を追いかけて 良かった」

 島に降り立った後、元のお店に・・板が打ち付けられていて、去年見た時のまま。そして、坂道を登って、お墓に行った。

「お父さん、お母さん、おばぁちゃん 帰って来たよ。私の好きな人と一緒だよ」と、お花とお線香をお供えした。巧さんも、何かを報告してくれているのだろうか、長いこと手を合わせてくれていた。「私 今 幸せだよ 心配しないで、元気一杯、生きているからね」

 そして、巌さんの民宿を目指した。近づいていっても、前みたいにバクの声は聞こえてこなかったのだ。私は、もう、涙に滲みながら、砂浜と海を見ながら歩いていた。

「香波ちゃん 相変わらず 元気そうだなー」と、巌さんの声だ。「もう そろそろ来る頃ばいっとなー」そして、バクのお墓に案内された。砂浜と海、そして少し離れたところの岩場が見える場所。木の墓標で バク と。側の竹筒にお花が供えてあった。私は、持ってきていた昨日作ったハンバーグを供えて・・。思わず、その墓標を泣きながら抱きしめていた。

「バク ごめんね 今まで、来れなくて ずーと仲良くしてくれて、ありがとうね」と、泣いていると、巌さんが

「香波ちゃん バクは、香波ちゃんの側に行ったんじゃけー 見守っとるよー」

「うん お父さんにも、そう、言われた いつも 見守っていてくれるけんネ」と、私は、涙を拭いていた。巧がハンカチを渡していてくれたのだ。

「香波ちゃん 穴倉みたいな部屋ですまんがのー 連絡もらった時には、もう、満室での まぁ 寝る時以外は、うちの座敷に居てくれて構わんがの」と、巌さんはすまなそうに言ってくれていたが

「ううん 私達 構わんよー 気にせんでー」と、泳ごーよと巧を誘って、部屋に行った。

「巧 こっち 向かないでよ」と、お互いに背を
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