第二章
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「そうしていまして」
「東方朔、それはそなたが悪い」
武帝は彼に咎める言葉を告げた。
「やはりな」
「いやはやお恥ずかしい」
「全く、悪戯はよくないぞ」
「そしてその桃ですが」
小人は武帝にあらためて話した。
「何でしたら陛下にもです」
「朕にもか」
「差し上げますが」
「そなたが献上するか」
「そうしますが」
「それならです」
今度は大人の艶やかな女の子がした、そして。
桃色と金色それに城の見事な服を着て冠を被った妙齢の美女が宮廷に来た、見ればその後ろにはみらびやかな一団が続き桃の香りがする。
その美女と一団を見てだ、武帝はもしやと察した。
「まさかと思うが」
「崑崙より参りました」
女は一団と共に武帝に拝謁し顔を上げてから答えた。
「西王母といいます」
「まさか崑崙の主まで来るとは」
「陛下に崑崙の桃をと聞きまして」
「今の話を聞いてか」
「それでなのです」
「仙人の耳は凄いというが恐ろしいまでだな」
武帝はまずこのことについて述べた。
「そしてすぐに来られるとはな」
「縮地の方術を使ったので」
「それでか」
「そこの悪童と同じです」
西王母は東方朔を見て武帝に笑って話した。
「このことは」
「そうであるか」
「はい、それで桃をですね」
「崑崙のな」
「それを召し上がられたいとか」
「そうしたいのだが」
武帝は皇帝らしく威厳を以て西王母に応えた、天子であるので西王母に対しても皇帝の玉座から話す。
「これより」
「畏まりました、では」
「これよりだな」
「献上させて頂きます」
「それではな」
「こちらに」
早速だった。
西王母は七つの桃を出した、そのうえで武帝に対して。
桃達を飛ばし武帝の手にやった、そうしてからまた話した。
「どうぞ」
「方術で飛ばしたか」
「そうしました」
「凄いものだ、では朕と半分ずつ食するか」
「七つの桃をですか」
「そうするか」
「では私は二つ頂きます」
西王母は武帝に畏まって申し出た。
「そして五つはです」
「朕がか」
「お召し上がり下さい」
「そうしてよいか」
「私は少食ですので」
二つでいいというのだ。
「その様に」
「それではな」
武帝は西王母の言葉に頷いた、そうしてだった。
彼女の言葉に従い桃を五つ食べることにした、すぐに傍の者達が出て来て武帝だけでなく西王母の桃の皮を剥き。
そうして切ってから皿に乗せて差し出した、そのうえで。
二人は桃を食べた、武帝は桃を食べて目を丸くさせた。
「これは」
「如何でしょうか」
「実に美味い」
食べてから西王母に答えた。
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