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ウルトラマンカイナ
特別編 ウルトラカイナファイト part13
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もないのにこの光線が全く通用しなかったのは、今回が初めてだったのだ。
 これまで戦って来た怪獣達とは、明らかに「格」が違う。それを改めて肌で実感させている相手を前に、ジェムはただ息を飲むしかなかった。

 だが今は、慄いている場合ではない。反撃を開始したバードンは、ジェムの全身を飲み込むような凄まじい火炎放射を放って来たのである。

『うぉあぁあッ!? ……あちゃちゃちゃちゃッ!』

 咄嗟に身を屈めることで、直撃だけは回避したのだが。頭頂部には猛炎が掠っていたのか、その部分だけが激しく燃え上がっている。
 慌てて燃えている頭を湖に突っ込んだジェムは、なんとか鎮火に成功したのだが。水面から顔を上げた時にはすでに、着陸したバードンが鋭い嘴を振り上げていたのである。

『ぐぁ……あぁッ!?』

 ジェムも咄嗟に、甲殻を盾に防御姿勢を取ったのだが。嘴による刺突の嵐は、その甲殻すらも破壊してしまう。
 圧倒的な貫通力により、ジェムの身を守っていた甲殻は全て打ち砕かれてしまうのだった。その衝撃に倒れたジェムの巨体が、水飛沫を上げて湖に倒れて行く。

 だが、まだ勝負が決したわけではない。バードンはジェムにとどめを刺すべく、点滅するカラータイマー目掛けて、最後の一突きを繰り出そうとしていた。

 その絶望的状況の最中、固唾を飲んで戦局を見守っていた旅行客の1人が、声を上げる。

「……!? おい、あそこ!」

 彼の視界に映り込んでいたのは――空の彼方から飛来して来た、大型のジェット輸送機だった。過去の防衛チーム「HEART(ハート)」で運用されていた、ハートワーマーをベースとする「BURKワーマー」だ。
 その機首部に搭載されているレーザー砲が火を噴いた瞬間、ジェムにとどめを刺そうとしていたバードンは頭部に熱線を受け、大きく怯んでしまう。B-52「ストラトフォートレス」のものを想起させるレドームが、バードンの位置を正確に捕捉していたのだ。

『命中を確認、これより本機は着陸体勢に入るわ! エレーヌ隊は直ちに突入準備! 人類の底力というものを、あの鳥野郎に教えてあげなさい!』
『了解しました! アリア機長、お願いしますッ!』

 30過ぎの女性とは思えない幼い容姿を持ち、「合法ロリ」とも呼ばれているアリア・リュージュ機長。そんな彼女の指揮により運用されているBURKワーマーは、近くの草原にゆっくりと垂直に着陸して行く。
 それから間も無く、そのハッチから矢継ぎ早にBURKの歩兵部隊が駆け出して来た。その腕章には、トリコロールの国旗が描かれている。

 光線銃を手にこの場に駆け付けて来た彼らは、BURKのフランス支部から派遣された精鋭部隊なのだ。だが、彼らの参戦を目撃した人々からは、不安の声が上がっている。

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