第一章
[2]次話
犬達へのバースディプレゼント
コロンビアのブカラマンガという街でのことだ。
チョコ=アントニオというクリオーニュの男性がいた、明るい顔立ちで黒い肌から白い歯が見えている。
彼は仕事は持っている、だが。
「家はいいさ」
「そうですか」
「なくてもコロンビアは暑いからな」
だからだというのだ。
「暮らしていけるからな」
「それで、ですか」
「飯や洗濯は外でしてな」
「身体を洗うことはですね」
「池や川でしてな」
そうしていってというのだ。
「暮らせるからな」
「だからですね」
「ああ、家はなくてもな」
「いいんですね」
「俺はそう考えてるよ、家で暮らしていた時はいい思い出がなくてな」
その明るい顔立ちに暗いものを見せて述べた。
「だからな」
「それで、ですか」
「家で暮らしたくないんだ」
「それでホームレスとしてですか」
「生きてるんだよ、一人じゃないしな」
ここでだ、アントニオは。
一緒にいる二匹の犬達を見てあらためて話した。
「茶色と白がネナで雌で十歳だ」
「ワン」
大型で垂れ耳の犬である、ずっとアントニオを見て今一声鳴いた。
「それでこっちがシャギーだ」
「ワン」
やはり大型で垂れ耳だがこちらは黒い、この犬も一声鳴いた。
「雄で四歳だ」
「家族ですね」
「ああ、こいつ等がな」
アントニオは人に微笑んで話した。
「こいつ等がいるからな」
「寂しくないですか」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「俺は寂しくないしな」
「お家がなくてもですか」
「困ってないさ、逆にな」
「アントニオさんの場合はですね」
「家がある方がな」
むしろその方がというのだ。
「辛いんだよ」
「そうなんですね」
「だからな」
「これからもですね」
「家はなくていいさ」
こう言ってだった。
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