暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
引ったくり犯
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話

 音をたてて地面に落ちた引ったくり犯。痛みに呻きながら、彼は手のトートバッグを手放した。

「もう、こんな悪いことしちゃ駄目だよ!」
「ひ、ひいいいいいっ!」

 笑顔を見せる少女。それにすごまれて、引ったくり犯は一目散に逃げていった。

「すご……」

 その一部始終を見届けて、美炎は口をポカンと開けていた。
 一方、トートバッグを拾い上げた少女。彼女は笑顔で、それを美炎へ差し出した。

「はい、これ。盗まれちゃダメだよ」
「ああ、これわたしじゃなくて……」
「ああ、ありがとう……!」

 追いついてきた、引ったくりされた女性。彼女は、息を大きく吐きながら、少女からトートバッグを受け取る。

「助かったわ……! 二人とも、ありがとう! 何かお礼をしなきゃ……」
「あ、いえいえ。これくらい、へいきへっちゃらッ!」

 少女はそう言いながら、女性の礼を遠慮する。

「なんてこと……こんな世知辛い世の中に、あんた達みたいな殊勝な若者がいるなんて、おばさん嬉しいよ……」
「ああ、いいですから! 気にしないでください! ……ほら、君も!」
「う、うん!」

 少女に促されて、美炎もまた頷く。
 そのまま感涙していった女性は、手を振りながらその場を去っていった。
 女性の姿が見えなくなったところで、美炎は少女へ言った。

「君すごかったね! 着地から全部、まるでヒーローみたいだったよ!」
「ありがとう! でも、今一番カッコよかったのは、わたしじゃなくて、最初から人助けをしようとしたあなただよッ!」
「いやあ、そんなことないよ……あ、それより、ちょっと聞きたいことがあるんだ」
「わたしも! 聞きたいことがあるんだ」

 そして、美炎と少女は、同時に笑顔で言った。

「「ここ……どこ?」」

 見滝原ではある。
 それ以外、美炎にも少女にも、全く手がかりがなかった。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ