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冥王来訪
第一部 1977年
転移 その3

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周囲を武装した兵士に囲まれた建物
狭い室内には、寝台と簡素な机、椅子が2脚ある
その中に白い巨人から現れた男女が、寝台に腰かけて居た

彼らこそ、ゼオライマーのパイロット、木原マサキと、それに付き従うアンドロイド、氷室美久である
ゼオライマーは鉄甲龍との最終決戦の後、消滅したはずであった

マサキは静かに語り始めた
「なあ、俺達は、あの時、マサトの自爆で消えたはずだ……」
立ち上がり、脇にいた美久の左頬を触った
「こうして、パーツであるお前が、無事。そしてゼオライマーの能力も欠けた所が無い、と言う事は、おそらく次元連結システムの保護機能が働き、助かったと考えるのが妥当だろう」

不意に彼は微笑んだ
「だとすれば、再び俺はこの世の覇者として君臨できる機会が巡ってきたということだ」
そして、都合の良いことに、_忌々しい_秋津マサトの人格が表れてこない

現場に来た将兵の話から類推すると、時代を10年ほど遡った事に当初驚いた
だが逆に、彼には、チャンスに見えてきた
唯、この世界を掌握するにしても、それなりに障害になる物が在るのを、知った
《BETA》と、呼ばれる異様な化け物共だ……
しかし不思議なのは、人民解放軍の航空戦力が_元の世界より_古すぎる点
そして18メートルの量産型軍事用ロボットが存在するという点だ
おそらくは次元連結システムの応用により並行世界に転移してしまったと言う事であろう
多分BETAぐらいで、変わりはなかろう。
もし、科学技術の立ち遅れや、歴史的な事象の相違があるのであれば、話は変わって来るが……


マサキは静かに美久の左ほおから手を放し、今度は彼女の胸を、つかみ始める
思わず美久は、彼の右手を両手で掴んで、叫んだ
「何をするのですか」

彼は高らかに笑った後、こう告げた
「俺の高ぶる気持ちを、落ち着かせることぐらいできるであろう、例え、ガラクタであってもな」
そして美久を抱き上げて、顔を近づける
彼は、彼女の耳元で、囁く
「貴様には、俺の野望の為、再び馬車馬の如く働いてもらう。そして、その喜びを、全身で味わえ」

そう言い終わるとマサキは乱暴に美久の唇を奪った
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