暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 穹色の風
アインクラッド 前編
虚構から現実へ
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はもう一度目の前の二人を見回し、曲刀使いの顔が曇ったのを見た。それに気付いたのか、クラインは顔を歪めたままで仲間を置いてはいけないと苦しい胸の内を吐露する。すると、キリトの瞳の中で揺れる不安の色がさらに濃くなった。刹那の逡巡だったが、クラインはそれを敏感に感じ取り、少々強張った笑みで首を横に振った。そして、二人の視線がマサキに向けられる。マサキは数秒だけ考えると、やがてクラインと同じ方向に首を振った。

「いや、俺もこれ以上キリトに世話になるのは悪い。俺のことは気にせず、次の村へ行ってくれ」
「……そっか」

 ここでキリトの世話になっておいた方が彼にとって良かったのであろうことはマサキも承知していたが、一人の人物とあまり深い関係になることによって色々な厄介ごとに巻き込まれることを懸念したマサキが、表面上は申し訳なさそうな顔で言うと、しばしの葛藤の後にキリトは頷き、掠れ声で言った。

「なら、ここで別れよう。何かあったらメッセージ飛ばしてくれ。……じゃあ、またな、クライン、マサキ」

 マサキは黙って頷くと、キリトが身を翻し、クラインと最後に叫びあった後に角へと消えていくのを見送り、クラインに向き直った。

「じゃあ、俺たちもここでお別れだな。今までありがとうよ」
「ああ。これからもよろしく頼むぜ、マサキ」

 マサキが社交辞令で出した手をクラインはがっちりと掴み、

「おめえ、リアルでもイケメンだったんだな。かなりイケてるぜ、その顔」
「お前こそ、なかなか味のある顔してるぜ」

 と笑顔で言葉を交わした。マサキはクラインが走り去るのを見届けると、反対方向へと歩き始めたのだった。
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