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物語の交差点
とっておきの夏(スケッチブック×のんのんびより)
始まった物語
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夏海「うん。それが実現できたけん、ちかっぱ(とても)嬉しかとよ!」


前回に引き続き、今回の旅行も夏海が主体となって計画した。
テーマは「とっておきの夏に出会おう!」。知らない街を旅してその土地の人と仲良くなり、そこでしか味わえない体験をしようというものである。


渚「しかし福岡よりマシとはいえ、ここもなかなか暑いねえ……おや?」


渚が何かを見つけたようだ。


樹々「栗ちゃん、どうしたの?」

渚「いや、あれ…」スッ


渚の指さす先には田んぼの用水路があり、6〜7歳ぐらいの女の子が虫取りをしていた。少し離れた木の陰では女の子の姉妹と(おぼ)しき少女がその様子を見守っている。


?「ひか(ねえ)、こっちくるーん!こっちにミズカブトムシいたーん!!」


麦わら帽子を被った女の子が少女を呼ぶ声は美術部一行のところまで聞こえた。


渚「ミズカブトムシだって!? そんな虫、聞いたことないけどなあ。夏海君、ちょっと行ってくるよ!」ダッ!

夏海「あっ、栗原先輩!?」


言うが早いか荷物を放置して渚は駆け出した。昆虫ハンターの本能が目覚めたらしい。
しばらく呆気にとられて見ていた一同だったが、やがて渚のあとを追って走っていった。





ーー
ーーー




宮内(みやうち)ひかげは妹のれんげと昆虫採集に来ていた。
否、「れんげに連れてこられた」というほうが正しい。短い夏休みを満喫するべく冷房の効いた涼しい部屋で寝ていたところをれんげにしつこくせがまれ、行かざるを得なかったのだ。

れんげに『なっつん(越谷夏海)にセミとかカブトムシの採り方を教えてもらったからひか姉(=ひかげ)にも教えてあげるん!』と言われたことに対抗して「知る人ぞ知る極秘昆虫採集スポット」である宮内家が所有する水田の脇を流れる用水路と、そこに棲む水生昆虫の採り方をれんげに教えてやった。
現在は涼しい木陰に避難して水生昆虫を採るれんげを見守っている次第である。


れんげ「ひか姉ー!」


名前を呼ぶ声にひかげは顔を上げた。
麦わら帽子を被ったれんげがこちらを向いて虫取り網を掲げている。


ひかげ「なんだー!?」

れんげ「ひか姉、こっちくるーん!こっちにミズカブトムシいたーん!」

ひかげ(れんげの奴はしゃいでんなー。なんだかんだでまだ子どもだな…。) ヨッコラショ


やれやれと思いながらひかげは腰を上げ、れんげの元へ向かった。


ひかげ「おー、ミズカブトムシってなんだー?カブトエビかなんかか?」

れんげ「これー!」

ひかげ「んー?」


れんげが指さしたものを見てみると、5〜6cmほどの大きさをした褐色の昆
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