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渦巻く滄海 紅き空 【下】
四十九 トロイの木馬
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事実、百も承知。



影が迫る。
角都と飛段、双方へ地面を這って追い駆け続ける影。
地面へ注意を向けていた角都は、直後、ハッと上を仰いだ。

「飛段、上だ!」


角都の指摘に飛段もまた視線を上げる。大木の枝の上。影の術者と眼が合った。
だが、その時には既に、刃物がまたしても投擲される。

爆と描かれた札つきの刃物だと認め、角都は「かわせっ」と相方へ注意を呼び掛けた。
角都の声に従い、刃物を避ける。
飛段と同じく、回避した角都は、しかし、突然動けなくなった我が身に困惑した。

「起爆しない…?」


爆と描かれた札つきの刃物が自身の影を突き刺している。
てっきり爆発するものだと身構えた飛段の当惑する声を耳にしながら、角都は苦虫を?み潰したような表情を浮かべた。


「…やられたな」


影の術者が木から飛び降りる。
太陽を背に墜ちてきたシカマルは、動けぬ仇敵を肩越しに振り返って、口許に弧を描いた。


「【影真似手裏剣の術】──成功」








敵影を射抜く刃物。
クナイとは聊か形の違うソレはチャクラ刀だ。

使用者のチャクラ性質を吸収する特別な金属で出来ているチャクラ刀。
吸収したチャクラによって使用者の術に基づく効果を発揮する。

シカマルの場合は、【影真似の術】と同じ効力を発揮する武器だ。
要はチャクラ刀自体が【影真似の術】を発動しているのである。


チャクラ刀についている爆と描かれた起爆札。
ただの紙切れであるそれを見下ろし、角都は(なるほど…)と感心した。


最初に起爆札つきクナイを放った先制攻撃は、二度目の起爆札を確実に回避させる為の伏線だったのだ。
その上で、影で注意を足元に引き付け、頭上からの攻撃を気づかせる。
ギリギリで回避させ、角都と飛段の影を確実に射る。


それこそが、シカマルの狙い。
チャクラ刀についている起爆札はフェイクだと気づいたところで、もう遅い。

あらかじめ、自分のチャクラを吸収させておいたチャクラ刀の効力は抜群で、身動きできない我が身を見下ろしながら、角都はシカマルを見据えた。
先日、アスマと対峙した時も薄々気づいていたが、改めて再認識する。

(やはり此奴…かなりの切れ者)


「おいおいおい、どうすんだよ角都ぅ!」

感心する角都に向かって、飛段が焦った声を上げる。
動けなくなった身体に焦燥感が募りながら「これ、ハッキリ言ってマズいんじゃねぇか!?」と声を荒立てる飛段の発言に、シカマルは片眉を吊り上げた。


「マズい?俺の計算じゃ、この手順でお前らを捕まえた時点で、」

シカマルが印を結ぶ…ふりをする。代わりに、木々の影に潜んでいたいのが印を結んだ。

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