第五章
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「貴方は貴重なお話を聞けましたね」
「はい、千五百年先のことは」
その未来のことはというのだ。
「実に訳がわからぬ」
「おかしな世ですね」
「鉄の鳥が空を飛ぶのか」
「そうしたことが起こるのか」
「そのことは」
「拙僧もです」
行基もというのだ。
「どういうことかわかりませぬ、しかし世はです」
「千五百年先は」
「そうなっていますか、そして帝は」
「その世もおられるとのことですので」
「本朝はあるのですね」
「はい、そうだとのことです」
「それはよいことです、では拙僧は」
行基は役人にあらためて話した。
「拙僧のすべきことをです」
「為されますか」
「はい」
役人に微笑んで答えた。
「帝にお仕えして」
「そしてですね」
「大仏を完成させます」
役人に話した。
「必ず」
「大仏はまさに本朝を守護するもの」
「ですから」
それ故にというのだ。
「拙僧もです」
「今がですか」
「御仏の定められた拙僧の為すべきことと考え」
そしてというのだ。
「果たしていきます、ただ」
「ただといいますと」
「実は皇子に言われました」
その過去に行った時にというのだ。
「大仏は完成し本朝を守護してくれますが」
「それはいいですね」
「ただです」
「それでもですか」
「拙僧はです」
行基自身はというと。
「その前に今の生を去ると」
「そう言われましたか」
「はい、ですが大仏は完成するので」
「それで、ですか」
「満足です、では拙僧は」
「今の生が終わるまでですか」
「拙僧のすべきことを果たしていきます」
こう役人に笑顔で答えた。
「そうしていきます」
「そうですか、では私も」
役人は自分のことは言われなかった、だがそれでもだった。
行基のその言葉を聞いてこう言ったのだった。
「私のすべきことをです」
「されていきますか」
「そうしていきます」
こう言ってだった、己のすべきことをすると行基に誓った。そしてこうも言ったのだった。
「本朝が遥か先まで続くのなら」
「そうなる様にですか」
「働こうとです」
その様にというのだ。
「思いましたし」
「それでは」
「はい、私は帝にお仕えしていますので」
「皇室の為に」
「働いていきます」
己の為すべきことを定めた、そうしてだった。
役人は彼のすべきことをしていった、それはあの室に行った時に定まったがその室は実はどの室であるかは語られていない。一説では石舞台古墳がそうではないかと言われているが真実はわからない。だが若しかすると新月の日が変わる時にその中に入れば別の時代に行けるかも知れない。そのことは真実はわからないが。だがこの役人は時空を超えて皇子に会うことが出来てそのこ
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