暁 〜小説投稿サイト〜
慎重な対応
第四章

[8]前話 [2]次話
「慎重な対応をですか」
「検討するだ」
「それじゃあもう」
「まずい、このままだとな」
「そうですよね」
「大変なことになる」 
 河野の言葉も深刻なものだった。
「本当にな」
「そうですよね」
「だから私も今は何とかだ」
「重役の人達にですか」
「毎日言っているが」
「動いてくれないですか」
「問題を全く理解していない」
 そうだというのだ。
「どういう訳かわからないが」
「事情を理解していないとしか思えないですね」
 池上も深刻な顔で言った。
「もう」
「そうだな、このままだとな」
「マスコミが報道して」
「ネットでもな」
「もっと事態が知られて」
「取り返しのつかないことになる」
「そうなりますね」
 河野にその顔で言った。
「このままですと」
「今すぐに手を打たないとな」
「はい、組合もどう言うか」
「組合も不安だろうな」 
 企業の労働組合もというのだ。
「そうだろうな」
「絶対にそうかと」
「会社が潰れると彼等も困るからな」
「そうですね」
「すぐに動いてもらわないとな」
 経営陣つまり重役達にとだ、河野は言った。そうして彼は実際に重役にこれまで以上に言ったが彼等は。
 全く動かなかった、やはり慎重に対応を検討すると言うばかりで。
 遂にマスコミが報道しだしネットでは炎上した、会社に抗議の電話が鳴り響きかつ取引も断られる様になった。
 契約者からは契約解除が相次ぎ株価も暴落した、この状況を受けても。
 重役達は慎重に対応を検討するだった、それで河野は池上と奥保に言った。
「もうこの会社は駄目だ」
「手遅れですか」
「倒産しますか」
「そうなる、多くの人はまだ大丈夫と言っているが」
 それでもだというのだ。
「もうだ」
「倒産する」
「それが決定的ですか」
「今なら間に合う」
 河野は二人に言った。
「逃げるべきだ」
「逃げる?」
「逃げるっていいますと」
「退社することだ」
 こう二人に答えた。
「今のうちにな」
「退社ですか」
「すぐに次の就職先を探すことだ」
 河野は奥保に答えた。
「そうすべきだ」
「今のうちにですか」
「もうこの会社は手遅れだ」
「上が何の対応も取らないからですね」
「大変な不祥事ということが世間に知られて」
 そうしてというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ