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糸引き婆
第二章
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「出身大学じゃ博士号も持ってるらしいぜ」
「そうだったんだ」
「それで徳島の民俗学も研究していてな」
「民俗学って妖怪も研究するんだ」
「そうみたいだからな」
 それでというのだ。
「若しかしてな」
「あの先生に聞いたらか」
「わかるかもな」 
「じゃあ松井先生に聞いてみるな」
 山影はその友人の言葉に頷き実際に職員室に行って松井一喜先生、やや面長で細い目にいかつい顔でそのまま平仮名でにしこりといった感じの顔で黒髪を短くして真ん中で分けた大柄なその先生に糸引き婆のことを尋ねると。
 先生は彼にすぐにこう言った。
「この学校のある街になんだよ」
「えっ、ここですか」
「うん、昔から出るって言われてるんだよ」
「そうだったんですか」
 山影は先生の返事に仰天して応えた。
「まさか」
「大体夜の十二時にね」
「ここに出るんですね」
「そう言われているよ、道もね」
 その出る細かい場所もというのだ。
「わかっているよ」
「そうなんですね」
「君糸引き婆見たいのかな」
「はい、実は」
 山影は先生に答えた。
「そう考えています」
「じゃあ夜だから気をつけて行くんだ」 
 先生は山影に教師としてこう言った。
「そこにね」
「夜の十二時にですね」
「そうしたら出る筈だからね」
「砂かけ婆の親戚って聞いてますけれど」
「それは僕もわからないけれど」 
「そうなんですか」
「そうした話もあるね」
 実際にというのだ。
「糸引き婆には」
「そうなんですね」
「そしてね」
 先生はさらに話した。
「くれぐれもね、夜だからね」
「気をつけて、ですね」
「そこに行くんだ、その道は」
 先生は道も教えてくれた、そうしてだった。
 山影は天気予報で夜も晴れている日をチェックしてだった。
 そのうえで夜の十二時にその道に行くことにした、だがそこに行くのは彼だけではなく友人達も一緒だった。
 山影は自分と同じく自転車でその道に向かう友人達に言った。皆ちゃんとライトは点けていて安全運転に徹している。
「僕一人でって考えていたんだけれど」
「いやいや、折角だからな」
「俺達も行くよ」
「面白そうだからな」
「そうさせてもらうぜ」
 友人達は山影に笑って言った。
「折角だからな」
「それに一人より皆の方がいいだろ」
「おかしなの出ても一人でいるよりずっといいだろ」
「変質者だって思われにくいしな」
「そうだね、じゃあ」
 山影も友人達の言葉に頷いた、そうしてだった。
 皆でその道に向かった、そして。
 道に着くとすぐに携帯で時間をチェックした、するとだった。
「十一時五十五分だよ」
「あと五分か」
「あと五分で出て来るんだな」
「その糸引き婆が」
「そうなるんだな」
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