第三章
[8]前話
「それをあげてね」
「教えてもらったの」
「そうしたら上機嫌で教えてもらったわ」
「それも賄賂よね」
「お金を贈らなくても」
「それでもなのね」
「賄賂になるわ、それが犯罪に入るものでなくても」
それでもというのだ。
「そうなるわ」
「そういうことね」
「そう考えたら私達もね」
「賄賂贈ってるわね」
「課長さんから決算前に焼き肉奢ってもらったけれど」
「あれも賄賂ね」
「もう細かく言えば」
そうすればというのだ。
「もうね」
「私達も賄賂使ってるわね」
「そうなるわね、昔は賄賂じゃなくて付け届けで」
そうしたものでというのだ。
「普通に贈りものしてたし」
「それも賄賂と言えば賄賂で」
「世の中普通にあるものよ」
そうだというのだ。
「これがね」
「そうなるわね」
「私も今気付いたけれど」
「考えてみればそうね」
「私達賄賂とは無縁と思っていたけれど」
「実はそうじゃないわね」
「世の中には結構あって」
そうしてだ。
「潤滑油にもなってるわね」
「ええ、あまりよくないものだろうけれど」
「世の中を動かしているものなのは事実ね」
「そうよね」
二人でこう話した、そしてだった。
私は正直先輩に二つのお菓子を贈って本当によかったと思った。それが無事に難しい仕事を成功させるもとになったのだから。賄賂は私達にも縁があるものでそしてそれでいいことにもなる。それでいいのかとも思うがそれもまた世の中と思うことにした。仕事が上手くいってよかったと思う満足感と充足感の中で。
CROSS MY PALM 完
2020・11・15
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ