暁 〜小説投稿サイト〜
モンスターハンター 〜故郷なきクルセイダー〜
番外編 とある受付嬢の懸想
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能天気で、明るくて、優しくて、そのくせ強い。そんな彼の背中に何度も救われてきたからこそ、思うところがあるのだ。
 アダイトなら、あんな性悪女ともきっと上手くやっている。文字通り何もできないギルド嬢だった自分を見捨てなかった彼が、ハンターとして危険を共有しているクサンテを見捨てるはずがない。

 彼ならきっと……否。絶対に、彼女を助けるために同行してしまう。今が1番危険なカムラの里に、彼を呼び込んでしまう。
 数年前の記録によると……彼はすでに一度、百竜夜行の脅威を経験しているのだから。

(……あーあ。いっつも損してばっかりだなぁ、私)

 クサンテをカムラの里に送れなかったことへの後悔か。あるいは、その選択をしなかったことへの安堵か。
 自分自身でも理解しきれない感情を吐露するように、ミレーヌはもう一度深く息を吐き出して。ようやく、自分を心配げに見つめていた友人達に向き直ることができた。

「……あははっ、ごめんなさい。最近ちょっと、残業続きで疲れてるのかもね。今日こそは早めに帰りたいなぁ」
「全く……心配させるんじゃないわよ。あんた、ちょっとは有給も使いなさいよね」
「先輩っ! じゃあ今度の休み、一緒にお出かけしましょうよ! 新作スイーツ、食べに行きましょうっ!」
「そうね……ふふっ、次の休みのお楽しみにしておきましょうか」
「いいじゃない、アタシ達も混ぜなさいよ」

 そして、いつものように営業スマイルを浮かべて。いつもの日常へと戻っていく。そう遠くないうちに百竜夜行も終わり、アダイトに会いに行ける日が来るのだと信じて。

「さぁ……私もお仕事、頑張りましょっか!」

 ミレーヌ・ハーヴェイは今日も、筆を取る。ハンター達の日々を支える、受付嬢の1人として。

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