第二章
[8]前話
「これからね」
「車の中を見て」
「確かめましょう、見ていいわね」
「ワン」
お願いしますという感じでだった。
犬も応えた、そうしてだった。
二人で車の中を見るとだった。
十匹の生まれたばかりの子犬達がいた、まだ目も開けられない様だ。エレンはその子達を見て言った。
「すぐにね」
「この子達全員をよね」
イアンネも応えた。
「保護するのね」
「この娘もよ」
母犬も見て言った。
「勿論ね」
「保護するのね」
「そう、それでこの娘の足も」
折れているその足を見て言った。
「治さないといけないでしょ」
「そうね、それじゃあ」
「お母さんも子供達もね」
「皆をね」
「保護しましょう」
「わかったわ」
イアンネも頷いた、そうしてだった。
二人で犬達を保護してエレンの病院に連れて行った、そしてそこでだった。
母犬の足の手当てをしてだった。
子犬達は彼女に預けた、すると。
「どの子も健康でね」
「それでなのね」
「ええ、この調子だとね」
こう話した。
「皆育ちそうよ」
「十匹全員がなのね」
「そうなりそうよ、野良だったらわからなかったけれど」
「ちゃんと保護したから」
「どの子もいけそうよ」
「それは何よりね」
「それでね」
エレンはさらに言った。
「赤ちゃん達の里親を探してあげて」
「そうね、ちゃんとした飼い主を見付けてあげないとね」
「皆無事に育ったら募集するわ、それでお母さんはね」
「この子ね」
イアンネはその母犬も見た、見れば十匹の我が子達にミルクをあげている。その顔は実に優しいものである。
「この子にも」
「私が飼うことにしたけれど」
「そうしたの」
「名前決めたわ」
「何名前にするの?」
「ヴェーラにしたわ」
その名前にしたとだ、イアンネに話した。
「それでこの娘の足も治したし」
「これからは貴女と一緒ね」
「そうして暮らしていくわ」
「そうするのね」
「そう決めたわ、ヴェーラこれからはずっと一緒よ」
「ワン」
ヴェーラと名付けられた母犬は優しい目で鳴いて応えた、そうしながら子供達にミルクをあげていた。
やがて子犬達は十匹共それぞれ心ある人達にもらわれていった、そして残ったヴェーラはエレンと共に暮らし時々訪問するイアンネそしてそれぞれの飼い主達が連れて来た我が子達と会った、その度に彼女は尻尾を横に振って嬉しそうな態度を示した。そこには幸せがあった。
足が折れている母犬 完
2021・3・17
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