第二章
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「さっき測量の話したけれど」
「それがどうしたんだ?」
「いや、最近川奇麗になってない?」
「淀川も美化が五月蠅いしな」
「ええ、ずっとね」
「だから前よりもな」
「奇麗になったのね」
「昔は今より遥かに汚かったらしいな」
「というと道頓堀位に」
「あそこは別格だろ」
その汚さたるやというのだ。
「せめて今里の方にしとけ」
「東成の方の」
「そうだよ、道頓堀は最強だろ」
「汚さでいったら」
「大阪の中でもな、あれでも昔より奇麗になったかもな」
「あれでなの」
「昔よりはな」
「そうなのね、それとね」
浅海はまだ川の方を見ている、そうして歩に言った。
「川に何かいるわよ」
「魚だろ」
「あれが?」
川の方を指差しての言葉だった。
「お魚?」
「?何だよ」
歩は浅海の指差した方に目をやった、すると。
川の橋の下のところにやけに大きな毛むくじゃらの何かがいた、茶褐色でゴリラの様な外見で顔はやけに大きい。
そして大きな舌を出している、歩はその何かを見て言った。
「妖怪だろ」
「やっぱりそうよね」
「ああ、どう見てもな」
「私も見て思ったけれど」
「大阪にも妖怪いるんだな」
歩はしみじみとした口調でこうも言った。
「俺達の学校だけじゃなくて」
「八条学園妖怪とか幽霊のお話異常に多いからね」
「ああ、それでな」
「大阪にもなのね」
「妖怪いるんだな」
「そうなのね」
「今話しているのはわしのことか」
その妖怪が言ってきた。
「そうか」
「そうよ」
浅海は妖怪に一言で答えた。
「あんた見て何かと思ってね」
「それでか」
「今二人で話していたのよ」
「そうだったか」
「それであんた妖怪よね」
橋の下から自分達の前に来た妖怪に問うた、実際にゴリラの様な外見であり全高七メートルは優にある。
「そうよね」
「如何にも」
その通りと言う返事だった。
「赤舌という」
「そういえば舌赤いわね」
「だから赤舌だ」96
その通りという返事だった。
「わしの名はな」
「そうなのね」
「わしは川にいる妖怪でな」
自分からこのことを語った。
「それでだ」
「川にいたのね」
「今丁度今の川の深さを調べていたのだ」
「そうだったの」
「奇麗かどうかもな」
そちらもしていたというのだ。
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