暁 〜小説投稿サイト〜
目が見えない子山羊と優しい雄山羊
第二章

[8]前話
「メェ〜〜〜」
「メエ?」
 一匹の雄山羊が彼女のところに来た、それは同じ施設にいるモーリス、首と顔の真ん中が白い茶色の雄山羊だった。
 その彼がマーシャの傍に来た、そして。
 いつも彼女の傍にいる様になった、そうしてだった。
 マーシャの目になり寄り添って先導して護った、すると。
 マーシャはその分安全にして安心して暮らせる様になった、ボランティアの人達はそんな二匹を見て思った。
「モーリスが助けてくれるなんて」
「思いませんでしたね」
「まさか山羊がそうしてくれるなんて」
「人間じゃないのに」
「まさかですよね」
「こんなことになるなんて」
「モーリスは前から優しい子だった」
 こうした言葉が出て来た。
「この施設の中でも」
「そうでしたね」
「元々そうした子でした」
「ですがそれでもです」
「マーシャを助けてくれるなんて」
「彼女の友達になって目をになってくれるなんて」
「思いませんでしたね」
 誰もがこう言った。
「人間ですら出来ないことなのに」
「そうそうは」
「それをする山羊がいるなんて」
「凄いことですね」
「全くだ、生きものの種類の問題じゃない」
 そうしたものを超越しているというのだ。
「このことは」
「そうですよね」
「人間とかそういうのじゃなくて」
「モーリスはそんなもの越えています」
「この上なく奇麗な心を持っています」
「尊敬出来るまでに」
「あんな立派な心の持ち主は人間でもそうはいない」
 こうした言葉も出た。
「俺達はモーリスを知れて幸せだな」
「ええ、あの子を見られて」
「今もマーシャの傍にいますから」
「あんな高潔な子を観られてです」
「本当によかったです」
「モーリスに負けていられない」 
 施設にいる人達はこうも思った。
「俺達もマーシャの面倒を見よう」
「そうしましょう」
「他の子達の面倒も見ましょう」
「そしてより多くの生きものを助けましょう」
「絶対にな」 
 こうしたことを言ってだった、彼等は行動に移った。彼等の目には今もモーリスがいた。マーシャに寄り添い彼女を護ってその目になっている彼が。


目が見えない子羊と優しい雄山羊   完


                2021・1・27
[8]前話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ