暁 〜小説投稿サイト〜
歪んだ世界の中で
第二話 二人のはじまりその五
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「そうね。千春もね」
「千春ちゃんも?」
「植物の本だけじゃないよ」
 そうだというのだ。彼女もだとだ。
「木が出る本以外にね」
「うん、それ以外には?」
「人間が出て。希望みたいな人がね」
「僕みたいな?」
「そう、そういう人が出て頑張る本が好き」
 こうだ。彼に対してにこりと笑って話すのだった。
「いつもそういう本読んでるの」
「そうなんだ」
「じゃあそういう本を買いにね」
「今から本屋に行こうか」
「うん、それじゃあ」
 こうしてだった。二人はだ。その本屋に行くのだった。
 そしてそこに行くとだ。希望はすぐにだ。
 ライトノベルのコーナーに向かった。千春はその後ろについていく。
 彼はある作家のコーナーでだ。足を止めてだ。
 その本を見つけてだ。顔を綻ばせてこう言った。
「よかった、売ってるよ」
「その本買うの?」
「うん、買うよ」
 その本、小さな単行本を軽く手に取っての言葉だった。
「この本今日発売だったんだ」
「それで今そこにあるのね」
「そうだよ。じゃあこれ買うから」
「希望その本が好きなの」
「大好きだよ」
 にこりと笑ってだ。希望は千春に答えた。
 そのうえでだ。彼女に顔を向けてこうも言うのだった。
「だから買うんだ」
「そうなのね」
「じゃあ僕はこの本とね」
「その本と?」
「漫画も買うけれど」
 それも買うとだ。千春に話したのである。
「千春ちゃんは何を買うのかな」
「千春?」
「そう、植物の本とか買うのかな、やっぱり」
「うん、これ」
 言うとだ。すぐにだった。
 千春はその両手にあるものを持ってだ。希望に見せてきた。それはだ。
 図鑑だった。植物図鑑だ。カラーの表紙に緑の草がある。その本を希望に見せてだ。
 そのうえでだ。彼ににこりと笑って言うのだった。
「この本にするの」
「その本買うんだ」
「千春大好きだから」
 そのにこりとした顔での言葉だった。
「だからなの」
「それじゃあそれにするんだね」
「うん」
「他には買う本あるの?」
 希望はさらにだ。千春に対してさらに問うた。
「まだ何かあるのかな」
「ううん、もういいの」
 にこりと笑って首を横に振ってだ。千春は答えた。
「今はこれでいいの」
「その本だけなんだね」
「そう。この本だけでいいの」
「わかったよ。じゃあ今からね」
「お金はあるから」
 まただ。千春はこのことを話したのだった。
「だから心配しないで」
「うん、僕もお金はあるけれど」
「お金のことは気にしないでいいから」
 自分が出すと言ってだ。千春もここは
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ