第19話 リップシュタット連合の終焉
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? 帝国貴族中、比類無き名門の当主たるこのワシをか!」
「ああ、まだお分かりになりませぬか。それだからこそローエングラム候はあなたを生かしてはおけないのだという事が。ヴェスターラントに代表されるように、民衆に酷い仕打ちを続け、民衆から搾取し続けてきた帝国貴族を一掃する。それを為すことこそ彼の寄って立つところなのです」
「分かった……ワシは死ぬ。だが、あの小僧が帝位に付くのはだけは許せん! アンスバッハよ、何としてでもやつの簒奪を阻止してくれ。それさえ誓ってくれれば、ワシの命など惜しみはせぬ!」
「分かりました。誓ってローエングラム侯を地獄に落として御覧にいれます。ヴァルハラにてお待ちください」
「そうか……そうかよし。……っ…ところでな、なるべく楽に死にたいのだが………」
「毒になさるがよろしいでしょう。実は既に用意してあります」
アンスバッハ、毒の入ったワインをグラスに注ぐ。
「ア…アンスバッハ、やはり……な…領地や財産を全て差し出してもいいから命だけはまっとう出来ぬものかな。ワ、ワシは……ワシはその……ワ…ワシは、ワシは死ぬのは嫌だ!」
それを聞いたアンスバッハが振り向くと、後ろに控えていた兵士たちがブラウンシュバイク公の両腕を掴み、取り押さえる。
「名門の最後のご当主として、どうか潔いご最後を」
そう言って、アンスバッハはブラウンシュバイク公の口に毒入りワインを流し込んだ。
帝国の名門ブラウンシュバイク公爵家の当主として、栄華を誇った者の最後だった。
「……よし、公爵の体を収容して運び出せ」
「はっ」
兵士たちはブラウンシュバイク公の亡骸を死体袋に入れ、運び出す。
「(これで貴族連合は終わった。だが、まだローエングラム候が勝つと決まったわけではない)」
その後、アンスバッハはガイエスブルク要塞を脱出した。
主君であるブラウンシュバイク公の遺体と、その娘エリザベート・フォン・ブラウンシュバイクを連れて。
また、シュナイダー少佐に説得され、自害を思い留まったメルカッツも戦場から離脱していった。
宇宙暦797年/帝国暦488年 9月。
ガイエスブルク要塞は落城し、リップシュタット連合軍はここに壊滅した。
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