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埴輪
第二章

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「これからはな」
「埋めると」
「そうしますか」
「皇室の方のご陵墓に」
「人の代わりにですか」
「うむ、ご陵墓にな」
 皇室の方々のというのだ。
「共に埋葬してはどうかとな」
「帝に申し上げられますか」
「その様にされますか」
「そしてな」
 さらにとだ、宿禰は話した。とてつもなく大柄な身体に似合った厳めしいがそこに温もりもある顔で言うのだった。
「人が死ぬことの代わりとしよう」
「それでは」
「これよりですな」
「その様にしますな」
「そうする」
 こう言ってだった。
 宿禰は実際に帝の御前に参上してだ、こう言った。
「これよりは人ではなくです」
「その埴輪をか」
「はい、皇室の方々が旅立たれた時は」
 その時はとだ、帝に言うのだった。
「共にです」
「人よりもだな」
「既に異朝では遥か昔よりです」
「そなたが先に申した通りにだな」
「そうしたことは止めています」
 人を共にして死なせることはというのだ。
「そしてその代わりにです」
「そうしたものを墓に入れて埋めているか」
「ですから」
 それでというのだ。
「臣も考えまして」
「その埴輪をだな」
「はい」
 まさにというのだ。
「この度お話をさせて頂きます」
「確かにな。民を死なせることはない」
 帝は宿禰の言葉を聞かれて言われた。
「無碍にな」
「ですから異朝ではです」
「そうしたことはなくしたな」
「あの始皇帝は自身の墓にその中の細工に関わった者や宮廷の女達を供にさせましたが」
「あれは惨い話だ」
 帝は史記にあるその話には苦い顔で述べられた。
「実にな」
「あの様なことはです」
「してはならぬな」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「本朝でもです」
「そうしたことは止めてか」
「埴輪としましょう」
「始皇帝は豺狼の心の持ち主とあった」
 帝は始皇帝の話をさらにされた。
「そうであったな」
「はい、その為徳がなく」
「秦自体も滅びたな」
「そうなりましたので」
 だからだというのだ。
「あの様なことにならぬ様にも」
「徳を備える為にか」
「はい」
 まさにというのだ。
「この度はです」
「わかった、ではな」
「その様にして頂けますか」
「そなたの言葉をよしとする」 
 帝は今はっきりと言われた。
「その様にな」
「有り難きお言葉、それでは」
「そういえば古来よりそうしたことはしていたな」
 人形を死んだ者の墓に入れて供とさせることはとだ、帝は言われた。
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