第四章
[8]前話
「人にね」
「それは大変ですね」
「一家全員逮捕されたから」
「麻薬家にあったんですよね」
「かなりね、覚醒剤がね。しかも一家全員陽性だったそうだから」
つまり麻薬を使用していたというのだ。
「間違いなく刑務所行きよ」
「一家全員そうですよね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「犬がどうなるかね」
「それが問題ですね」
「私が今ボランティア団体に頼まれてるのよ」
その犬のことをというのだ。
「心のケアにね」
「そうですか」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「うちで引き取るわ」
「先輩前のお仕事犬の調教師でしたから」
「資格も持ってるわ」
「そうでしたね」
「そう、だからね」
「頼まれたんですね」
「ザビーネは怪我をして引き取ってね」
彼女の話もした、今回のお手柄犬のことを。
「それでね」
「その子もですね」
「里親見付かるまでね」
「そうですか、じゃあその子もですね」
「今度引き取るわ、ちなみにその子も女の子よ」
ザビーネと同じ様にというのだ。
「だからザビーネと仲良く出来たらいいわね」
「そうですね」
薫はザビーネの言葉に笑顔で応えた、そしてだった。
その娘を家に迎えた、名前はハナというその娘は最初は麻友も薫もザビーネも怖がっていつも震えていた、だが。
麻友のケアとザビーネの労りそして薫の明るさのお陰ですぐに本来の明るさを取り戻した、薫はそのハナを見て言った。
「まだこの娘里親見付かってないですか」
「そうなの」
「じゃあこの娘私が飼っていいですか？」
こう麻友に申し出た。
「そうしてもいいですか？」
「薫ちゃんがなの」
「はい、いいですか？」
「それじゃあボランティア団体の方に申し出てね」
「わかりました、じゃあハナちゃんその時は宜しくね」
「ワン」
すっかり明るくなっているハナは笑顔で応えた、そしてだった。
ハナは無事に薫の家族になった、麻友と同居したままなので結果的に麻友そしてザビーネとも一緒になった。すると二匹はすっかり仲良くなって種類は違うが姉妹の様になった。
犬にはわかる 完
２０２０・９・２６
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