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魔王の友を持つ魔王
§10 都内決戦
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ゆい閃光が視界の全てを塗りつぶしていく。




「無事に防げたようでなによりなにより」

 ロンギヌスを右手に黎斗が呟く。
 あの雷を護堂達だけでは防ぎきれない、と判断した彼はロンギヌスで雷と化した呪力の核を破壊したのだ。神すら殺すこの槍に呪力を破壊できない道理は無い。核を失った雷はもはやただの落雷、彼らだけでも対処は可能だろう、と踏んだのだがどうやら目論見通りにに事が運んだようだ。月読の権能により生じさせた外界との時間差は三十倍以上、その上自身の最大速度を出していたのだ。すっかり鈍ってしまった現状では、流浪の守護による隠密効果は月読の権能のような強大な力を発動させると一時的に無効化されてしまう。だが認識阻害を重ねがけし超神速とも呼べる速度で飛翔した黎斗を認識できたのはおそらく誰もいないだろう。雷を遥かに凌駕する速度を久々に出したせいか、足が痛い。

「相手が相手だったからこのくらいの助けはしょうがないか。そういえばあの男、なんて名前なんだろう?」

 今回は動物からの情報以外ロクな情報を持っていないためなのか、あの男の名前が最後までわからないままだった。護堂に聞けばわかるだろうがそれをしてしまえば関わっていたことがばれてしまう。隠した意味が無い。

「ま、この勝負ドローになったっぽいしいいか。 僕が帰っても大丈夫かな?」

 様子を見れば、祐理が二人の中に乱入しているではないか。あの中に乱入する胆力は感嘆に値する。彼女が口を開いた途端、男の殺気がみるみる失われていく。私のために争わないで!的ななにかなのだろうか?

「……あの男ロリコン? 万理谷さんになんか言われると矛収めるんかい」

 当事者達の会話を聞いていない黎斗の中で誤解が加速していく。

「ロリコンVSハーレム大王。万理谷さんを巡っての争い。首都崩壊はオマケ、ですか。崩壊防ぐために必死してたこっちがホント、馬鹿みたいだ。かえろかーえろ、ったく……」

 すっかりへそを曲げた黎斗は、護堂達をもう一度見るとアパートへ向けて歩き出す。打ち上げられていた小石が地面に衝突し、小さな音を軽く立てた。
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