暁 〜小説投稿サイト〜
曇天に哭く修羅
第四部
Bブロック 2
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
ろへ飛んで着地。


多聞天(たもんてん)


春斗が刀の柄を顔の側に置く。

切っ先は向子に向いた。


神速斬光(エル・グリント)二ノ段(ツヴァイ)


彼の体に力が(みなぎ)る。


魅那風(みなかぜ)流・刺突貫仏(つらぬきぼとけ)


先に出した飛車斬りが多撃必殺の乱舞技なら、こちらは急所狙いの一撃必殺。

春斗が踏み込み疾風のような早駆け。

明らかに速くなった。

どうやら神速斬光には底が有ったらしい。

狙い澄ました刺突が向子の(のど)穿(うが)つべく、矢のように放たれる。


(無駄だけどね)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


向子の喉仏に刀の先端が容赦の欠片も無く猛然と食い込むも、伝わってくる感触と共に硬質な音が鳴り響いて刃の前進が阻まれた。


「言ったはずだよ。私と江神くんはステータスが違い過ぎるって。生身の肉体なら兎も角として、きっちりと【魔晄(まこう)】を使って防壁を張り、身体強化をしたら、その攻撃が通るわけないじゃないか。威力こそ有るけど物理的に出すオーソドックスな刺突と何ら変わらないんだし」


向子は春斗の繰り出した必殺になり得る一撃に対し、奇を(てら)うこと無く、王道で正統派とも言える、『明確な実力差』によって真っ向から受け止め凌いで見せた。

闘技者としての格付けは済んだと言って良いが、それはあくまで基本性能という面であり、魔術師としての勝負は終わっていない。


「まったく……。ここまで差が有るとなれば、逆に開き直りもし易いと言うものだな。ここで全てを出し尽くすことになるかもしれん」


春斗は目の前に立つ高い壁に対して試行錯誤しながら楽しそうに笑っていた。

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ