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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
そして彼らは巡り会う
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ねっとりと纏わりつくような風に頬を撫でられながら、暗闇に閉ざされていた大輔の視界は開かれる。
ぱちり、と音がしそうなほどに見開かれた真ん丸の目に飛び込んできたのは、白縹の空。
ぱちぱち、と瞬きを2回して、大輔は上半身を起こす。
右手が暖かくて、ボーっとした頭のままそっちを見れば、大輔の手を握って離さないヒカリが、穏やかな表情で横たわっていた。
いつのまに眠っていたのかなぁ、と大輔は自分が今まで何をしていて、何をしようとしていたのか記憶を引っ張り出そうとする。
今日は、待ちに待ったキャンプの日だった。
1ヶ月も前から楽しみにしていて、お姉ちゃんと何度も何度もリュックの中身を確認して、1日1日が過ぎていくたびにカレンダーにバツをつけてもらった。
お姉ちゃんは一緒に行かないって聞いてショックを受けたけれど、大好きな女の子と尊敬している先輩達も一緒だからいっか、って機嫌を治して、お土産いっぱい持ってくるねってお姉ちゃんと約束したのだ。
本当はお姉ちゃんも来るはずだったんだけれど、何気なしに応募したライブのチケットが当たってしまい、それがしかもキャンプ当日だったから、大輔はすっかりしょげてしまった。
ごめんねってお姉ちゃんは謝ってくれたけれど、大輔は許した。
だってお姉ちゃんが悪いんじゃない。もちろん、ライブをするグループも悪くない。
タイミングが悪かっただけだ。こればっかりはどうしようもないのだ。
他の、キャンプには参加しないお姉ちゃんの友達も一緒だし、夜の部ではなく昼の部だから心配ないって、それまで1人でお留守番することを心配していたお母さんにも念を押していた。
お母さんのことを思い出して一瞬大輔の表情が顰められたけれど、大輔はお母さんのことを頭の隅に追いやって、再び作業に戻る。
キャンプ場について、皆で楽しく料理を作っていたら、ヒカリちゃんのお母さんに太一を探してくるように頼まれたから、2人で探し回った。
途中で治や空と合流して、皆で探そうとした時に見舞われた、突然の吹雪。
階段の上にあった小さなお堂に逃げ込んで、他にもキャンプ場から離れていた子ども達も続々と集まって、皆で吹雪が止むのを待っていた。

そして、ようやく大輔の頭は覚醒する。

そうだ、吹雪が止んだから外に出たら、オーロラが見えたのだ。
日本ではまず見られるはずのないオーロラを。
大輔もヒカリも、太一や空やミミだって、綺麗だなーで済ませていたあり得ない光景を、不吉なものとして捉えた丈と治が早く戻ろうってみんなを促して帰ろうとした時に、それは起こったのだ。
辺りを見渡す。整備されていない、でこぼこの地面と、鬱蒼と覆い茂っている樹々。
白い絵の具がついた筆を振り回したように、点々と背景に零れている。
じっとりと汗ばむような暑さは
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