第四章
[8]前話
その部屋の個室の中に案内されるとだった。
二人はそれぞれのメニューを注文した、それから乾杯して飲みはじめた。
大久保はジョッキのビールを何か食べるよりも先にゴクゴクと美味そうに飲みはじめた、ジョッキを一杯一気に空けた。それからこう言った。
「サウナで喉渇いてここまで歩いて」
「汗かいて身体も動かしたからか」
「それでな」
まさにというのだ。
「無茶苦茶美味いな」
「そうなんだな」
「きんきんに冷えたビールがな」
「そうか、けれどな」
佐々木もビールをジョッキで飲んでいる、だが彼の勢いは大久保程ではない。それで向かいに座る大久保に言った。
「お前また汗かいてるぞ」
「あっ、そういえば」
大久保も言われて気付いた。
「そうだな」
「身体まだ熱いからな」
「サウナに入って歩いてな」
「そこに冷たいの一気に飲んだだろ、それもビールな」
「ビール身体冷やすしな」
「だからだよ」
佐々木はビールを飲みつつ話した。
「お前また汗かいてるんだよ」
「そうなんだな、けれどそう言うお前もな」
大久保は自分に言う佐々木に返した。
「すこしだけれどな」
「汗かいてるか?」
「額にな、サウナに入って汗かいたのにな」
「また汗かくとかな」
「何かまだかくのかって感じだな」
「そうだよな、サウナで散々汗かいたのにな」
それでもというのだ。
「またかってなるな」
「ああ、けれどもう汗もかかないだろうし」
「結構身体も冷えてきたしな」
「じゃあこれからはな」
「飲んで食うのに専念するか」
「肴もたのんでるんだ」
見れば卓の上には。
枝豆に冷奴、卵焼き、唐揚げ、刺身の盛り合わせ、焼きそばといったものがあった。二人がそれぞれ注文したものだ。
それ等を見つつだ、大久保は佐々木に話した。
「食っていこうな」
「飲みながらな」
「じゃあビールも」
「また注文しような」
「そうしような、しかしな」
「しかし?」
「いや、サウナに入って酒飲むとな」
大久保は痛快という顔で佐々木に話した。
「もうこれ以上幸せはないって思うよな」
「そうだよな、明日からまた仕事だしな」
「今日はしこたま飲んで食ってな」
「また頑張るか」
「そうしような」
それぞれ汗を拭いてそしてだった。
共に飲んで食べた、二人はもう汗はかかなかった。だが楽しむことは楽しんだ。これ以上の喜びはないという顔で。そのうえで次の日から仕事に戻ったのだった。
サウナの後で 完
2020・5・18
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ