暁 〜小説投稿サイト〜
MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第30話 白の侍と黒の機士:前編
[1/7]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 勇美が白玉楼の剣士、魂魄妖夢と邂逅し永遠亭への招待をしてから数日後の事。
 この日は永遠亭で冥界からの客人に対するおもてなしの準備に勢を出している所であった。
「勇美ちゃん、この机に花瓶を置いてくれる?」
 そう言って永琳は勇美に指示を出す。
 と言っても永琳は勇美に手伝いを無理強いしている訳ではなかった。
「悪いわね勇美ちゃん、あなたに手伝わせちゃって」
「いえ、寧ろ私がお願いしたんですよ」
「そうだったわね、それじゃあ頼りにさせてもらうわ」
 そう、今勇美が永遠亭の手伝いをしているのは他でもない、彼女自身が望んだ事であったのだ。
「はい、任せて下さい」
 言って勇美は胸を張った。
「その心意気は良いけど、余り根詰めてはいけないわよ」
 張り切る勇美の間に依姫が入ってきた。
「依姫さん?」
 そのような物言いをされて、勇美は首を傾げてしまう。
「貴方は今日の催しもの主役の一人なのですからね」
「はい、分かりました」
 促されて、勇美は素直に返した。

◇ ◇ ◇

「すみません、お邪魔します」
 そして宴会の準備が出来た頃、永遠亭に来客が現れた。白玉楼の剣士、妖夢である。
「ここが永遠亭ね。お邪魔しますわぁ」
 続いてどこか間の抜けた声が聞こえる。
 その声の主はまず桃色の髪に水色の、手前に渦巻きのようなマークが施された三角巾付きのナイトキャップを被っている。
 そして服装は水色が基調で、フリルが多い等アレンジが激しいが一応形状は着物のそれである物を召している。
 そう、この者こそ白玉楼の主である亡霊姫、西行寺幽々子であった。つまり……。
「あの幽々子様、本当に良かったのですか? 永遠亭の招待に参加して」
 幽々子は永遠亭の誘いに応えた、そういう事であった。
「もぅ〜、何言っているのよ妖夢ぅ〜。折角のおもてなしには応えないと失礼じゃないのよ〜」
 言いながらぷっくりと頬を膨らませる幽々子。その様子はどこか大人の女性が子供っぽく甘えるかのようであった。
「それはそうですけど、何か危険な事があったらどうするのですか?」
「その時の為にあなたがいるのよ」
 慎重な妖夢に対しても幽々子はのほほんとした態度を崩さない。
「あはは、もうどうにもなれ……ですね」
 こうなったら流れるがままにされるしかない。そう開き直る妖夢であった。
 しかし、腑に落ちない事は残っていた。
 それは幽々子が自分の『死を操る能力』が通用しない不死の薬を飲んだ蓬莱人を嫌っている事にある。
 そして永遠亭にはその蓬莱人が二人もいるのだ。
 そのような場所に今回幽々子が自ら赴いた事が理解出来なかったのだった。

◇ ◇ ◇

 そして冥界組一行が永遠亭の玄関に入った所で迎えの者が現れた。
「ようこそ永遠亭
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ