暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
"撃槍 ガングニール"
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ファントムは顔を歪めた。
 その光景は、ウィザードからも確認できた。
 巨大な拳は、そのまま渦へ取り込まれ、響へ反逆する矛と化す。
 だが、その前に、やがて渦そのものが荒波を立てていく。やがて耐えられなくなった渦は、空間ごと消滅していったのだった。

「バカなああああああああああああああ?」

 盾を失ったファントムを響から守るものはもうない。
 そのまま白と黄の鋼鉄は、ファントムを圧し潰し、爆散___はさせなかった。
 あくまで尻餅をつかせるだけで、響はそれ以上進めなかった。

「な……なぜ?」
「貴方たちのことはよくわかりません。でも、私たちには、語り合う言葉がある。きっと、分かり合えるよ!」
「ふざけるのも大概にしてください。我々ファントムと人間は、決して分かり合えない。絶望を糧とするファントムと、希望を胸にする人間が、ともに生きる術などないのです」
「だとしても! それで諦めたら、きっと後悔する! 私たちの手は、傷つけることの他にも、繋ぐことだってできるはずだよ!」

 響の言葉に、ウィザードは静かに呟いた。

「ファントムとの和解か……考えたこともなかったな……」

 ウィザードは、無意識に指輪を見下ろす。赤いルビーの指輪。人々を守ってきたその指輪がもつ、ファントムにとっての絶望の象徴の面など、思いもしなかった。
 だがファントムは、首を振って吐き捨てる。

「何て甘い! そんな絵空事など、聞く必要などありません!」

 手から放たれた光弾が、響を突き飛ばす。

「絶望により、ファントムを増やす! 我々の目的は他にありません! それを邪魔するものは……」

 突如。ファントムの言葉は消えた。何があったのかと、ウィザードと響は彼へ視線を凝らした。
 やがてファントムは、胸元から突き出ている銀の刃に驚愕する。

「……こ……れ……は___

 その答えを、ファントム、ベルゼバブが知ることはなかった。
 刃からファントムの体へ走る、黒い文字列。それがファントムの体を、首を絞めつけたとき、その眼から光が消えた。
 爆発ではない、ファントムの死。ウィザードも初めて見るそれは、灰化による消滅だった。
 十秒にも満たない消滅。そして、ファントムを背後から突き刺した人物が、その姿を見せる。

「……なるほど」

 可奈美と同じく、日本刀を携えた女性。
 黒い服と黒く長い髪。血のように深紅の眼差しと、それに込められた殺意が特徴だった。
 彼女は日本刀を降ろし、ウィザードと響へ視線を当てた。

「この気配は……マスターと、サーヴァント……」

 彼女は静かに呟いた。
 その瞬間、ウィザードの体に電撃が走る。
 マスター。普通の人が容易くは発言しないその言葉に、彼女が聖杯戦
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ